2018年にマッチングアプリの広告モデルを務めて一躍注目を浴び、グラビア界に進出した俳優の上田操。その後も舞台やドラマを中心に活躍する一方で、学生時代から夢だった声優業にも進出、2月9日にはファースト写真集『ふたりだけ』(双葉社)も発売した。
フリーランスでありながら、着実にフィールドを広げている彼女の軌跡を追う。

【写真】1st写真集を発売したばかりの上田操の撮りおろしカット【10点】

マッチングアプリの広告モデルを務めたのをきっかけに、SNSのフォロワーが飛躍的に増えたという。

「それまでは1300人前後だったんですけど、広告がリリースされてから3ヶ月くらいで7万人くらいまで増えました。広告で水着になっていたのもあり、グラビア誌からお声がけいただくようになって、2019年に『週刊プレイボーイ』でグラビアデビュー。その後も定期的にグラビア雑誌に出させていただくようになりました。

『週プレ』に出たことでさらにフォロワーさんが増え、マッチングアプリの広告も回るようになったので相乗効果もすごかったですね」

中学生の頃から『週刊少年ジャンプ』を愛読し、マンガ家を志したこともある上田にとって、仕事で集英社と関わるのは感慨深かった。

「『週プレ』の編集者の方からご連絡をいただいて、集英社まで打ち合わせに行ったとき、途中の階に『週刊少年ジャンプ』の編集部があるのが本当にうれしくて……。大学受験に失敗したら、マンガを学べる専門学校に通うという選択肢も考えていたので、水着のお仕事で集英社にお伺いするとは夢にも思っていなかったです」

2019年に舞台「ナイトクラビング」では主人公を務め、「25歳までに主人公かヒロインを演じる」という目標も実現。2020年になると、コロナ禍の影響で活動の場も制限されたが、それでもモチベーションは落ちることなく、前を見続けた。

「私の中では事務所が解散したときが一番辛い時期でした。ほとんどの人が私のことを知らないし、どう自分を売り込んでいいのか、SNSに何を書けばいいのか、どうお仕事を取ったらいいのかも分からず、お先真っ暗の状態。そんな中でマッチングアプリの広告モデルをきっかけに、舞台やグラビアのお仕事が入って、25歳までにと決めていた主人公を務めるなど、次々と夢が叶う中でフォロワー数も増えて。


コロナ禍になったけど、SNSを通じて励ましてくれる声も多かったので、一人じゃないなという気持ちになれたんです。確かに仕事は減って、今後芸能の仕事はどうなるんだろうという不安もあったんですけど、フリーになった直後よりも仕事が減ることは絶対にないし、昔よりは私のことを認知してくれている人も増えているから、何とかなるだろうとポジティブな気持ちでした。

むしろせっかくのステイホームだから、自分なりの目標を立てて、ボディメイクやSNSに力を入れることにしました。おかげもあってか、コロナ禍が落ち着いたタイミングで、すぐに舞台のお話をいただいたので、焦りはなかったです」

さらには学生時代からの夢だった声優の仕事も入るようになった。

「声優のワークショップに通っていた頃の繋がりで、ASMRの作品に呼んでいただきました。あとは活動方向が合わず所属には至らなかった事務所さんがあるんですけど、やり取りをしていた方がフリーになったタイミングで、テレビCMのナレーションだったり、ゲームの声優だったりと、声優のお仕事を紹介してくださったんです。

そういうご縁をいくつもいただいて、オーディションではなく直でご指名いただくことも増えましたし、本当にありがたいです」

2月9日に発売したファースト写真集『ふたりだけ』も、ちょっとした縁から生まれた企画だった。

「以前取材でお会いした方が、今回コーディネーターとして出版社さんとの間に入ってくださったんです。双葉社さんの方に写真集の企画をご提案してくださって、企画が通ったタイミングでメールフォームからご連絡をいただきました。覚えてくださっていたのもうれしかったですし、私も二十代最後に写真集を出したかったのでお引き受けしました」

グラビアを始めた頃は、ストイックに食事制限をして、週に5,6回はジム通いをする生活を続けていたが、コロナ禍でジムに行く頻度は減少。写真集の撮影に合わせてボディメイクの方法を見直すようになった。

「闇雲に鍛えていたころは筋肉質で角張った体になっていたんですよね。
でも理想としてはもうちょっと女性らしいラインが欲しかったので、一度筋トレから離れて、いろいろ試行錯誤してみたんです。

結果、そこまでストイックにしなくてもいいなと気付いて。家でストレッチと有酸素運動、マシンピラティスに通いつつ、週2回くらいでマンツーマンレッスンを受けるというやり方に変わっていきました。極端な食事制限もやめたところ、前よりも自分の理想の体型に近づいていったんです。おかげで去年は今までで一番グラビアのお仕事も多かったですし、今回その集大成を写真集でお見せできたんじゃないかなと思います」

カメラマンは過去にも一緒に仕事をしていた鈴木ゴータ氏を自ら指名した。

「信頼している方なので、現場ではほとんど写真をチェックしませんでした。スタイリストさんやヘアメイクさんも丁寧にお仕事をしてくださったので、このチームなら絶対に良い写真集が出来上がるなという安心感がありましたね。

“彼女感”をテーマに、見た方に身近さを感じていただける方向性でロケ地の沖縄や衣装を選定しました。すっぴんに近いくらいメイクはナチュラルめという、本当にありのままの、素の自分を出せたと思います」

フリーで活動を始めて約6年。条件が合えば、事務所に所属したい気持ちもあるが、今は自分のブランディングを信じて活動を続けていきたいという。

「フリーだと、基本的に仕事の取捨選択を誰にも相談できません。この6年間は、どう見られたいのか、何をやらないで、どこまでやるのか、みたいな線引きを意識してブランディングをしてきましたが、そこは今も難しいところです。
常に、これでいいんだろうかと悩みますし、自分の中で一線を越えるような仕事にチャレンジすることにも不安があります。

でも迷いつつも、やりたいようにやってきて、想像していなかったようなジャンルのお仕事もいただけているので、今後も自分のブランディングやマネジメントを信じて、時が来るまでは、自分自身の力で活動していくつもりです」

(取材・文/猪口貴裕)
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