【別カット】ゆでたまご、撮りおろしカット
壮絶ないじめと摂食障害を乗り越え、職を何度か変えた末に動画制作会社で働き始めたゆでたまご。仕事内容はYouTuberのロケに同行して荷物を運んだりするなど、完全な裏方だった。しかし、このときの経験がのちにインフルエンサーとして飛躍する糧となる。
「結局、その会社も辞めてしまって、ちょっとだけ無職の時期があったんですね。次は何をしようかなと家にこもっていた時期に、TikTokの広告が流れてきまして。ちょうどTikTokのサービスが始まって1周年かなにかで、めちゃくちゃ広告を打っていたんです。それでアプリをインストールしてみたら、それまでSNSとかほとんどやっていなかったものだから、加工のすごさにビックリしました。
当時はまだTikTokの黎明期。コンテンツはリップシンク一択だった。具体的には楽曲に合わせて手遊びレベルの振付を披露するだけで、声を出す者すらいなかったという。
「当時から可愛い子は大勢いましたし、顔の加工だっていくらでもできるわけですし。ただひとつ思うのは、やっぱりインフルエンサーってテレビに出ている芸能人の方とは求められるものが違うんです。女優さんとかモデルさんって誰が見ても完璧に綺麗じゃないですか。だけど、SNSでバズる女の子って“親しみやすさ”がそれよりも大事だったりするので。“地元では少し目立つけど、東京ではそこまででも……”レベルだったのが、私の場合は幸いしたのかもしれない(笑)」
しかしTikTokでは、いくら有名になっても収益化できないという悩みがあった。ちょうどその頃、ライブ配信サービス・17LIVE(イチナナ)のスタッフから声をかけられ、ライバーとしての活動も開始する。ここでもゆでたまごは、新人ライバーのランキングでいきなり7位に入るなど快進撃を続けた。
「負けず嫌いなんだと思います。毎日6時間とか8時間を配信に費やしていました。
しかし、ライブ配信の世界はコロナを機に大きく構造が変化したといわれている。キャバクラやガールズバーなどナイトビジネスに従事している女性が大量参入したことで、“貢ぎ”の要素が一気に強くなったのだ。ゆでたまごは実質の視聴者数こそトップランキングを誇っていたが、こうした手練手管の新規参入者にはどうしたって敵わない。最後の10秒でドーピングのように捲られることもしばしばだった。
「もうこうなったら視聴回数でお金が稼げるYouTubeをやるしかないと思いました。私が一番数字を持っているのはTikTokだったので、そこからいかにYouTubeに導くかというのが課題。だからTikTokアカウントの一番上に自分のYouTubeアカウントを貼り付けて、“登録者が1万人になったら無加工をさらします!”ってアピールしたんです。そうしたらわりとすぐ1万人に到達したから、“無加工だけは勘弁して~”って泣きそうになりました。自分から言い出したくせに(笑)」
YouTubeを伸ばすためには、ますますTikTokに力を入れる必要がある。
「雑誌のグラビアを始めたことは大きな変化でしたね。私はSNS出身だから、常に内カメで自分の様子を確認していないと不安になるんです。でも周りの反応が想像以上によくて、ちょっとそこで自信が持てるようになりました。ありがたいことにグラビア効果でYouTubeの数字も伸びていったんですけど……ここで急にピンチが訪れまして。YouTubeが収益停止になってしまったんです。そう、脱ぎすぎだということでレギュレーションに引っかかってしまった」
人生、終わった──。それしか頭に浮かばなかった。明日からの生活はどうすればいいのか? グラビアをオファーしてきた編集者には「申し訳ありませんが、歯科助手に戻ります」とだけ伝えたという。そして、それに輪をかけてゆでたまごを悩ませたのは、有名になったことの弊害といえる誹謗中傷だった。
「アンチなんて無視すればいいという人もいるけど、嫌でも目に飛び込んでくるんですよ。“お前なんていなくなればいい”みたいなヤジが。今はこうやって復活していますけど、一時に比べたら活動のペースは穏やかになっていますね。一時の私は数字にとらわれていて、必死すぎたんだと思います。“これをやったら再生数が伸びた。翌日は半分しか伸びなかった”みたいなことを異常に気にしていて、心からは楽しめなかったです。
復活したきっかけですか? 鬱がなかなか治らなくて心が壊れそうな時、お友達に悩みを打ち明けたら、親身にサポートしてくれて。あと、変わらずに味方で居てくれたファンの方の存在が本当に大きかったです。やっぱり最後に救ってくれるのは仲間だなって、それは本当に感じました。結局、孤独が心を壊していくので。
昨年はBreaking Downのラウンドガールも務め、さらに支持層が拡大。他人よりも傷ついた経験を重ねている分、「なるべくSNSではポジティブな内容を発信していきたい」とつぶらな瞳を輝かせる彼女に引き続き注目していきたい。
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