国内外問わず“KAWAII”を発信し続けるわーすたは、結成5年目を迎える今年、自身にとって大きな壁に挑んだ。「平日のフリーライブで1500人集客する」。
その大きすぎる壁は、むしろ本人たちに熱い火を灯し、ノルマの倍以上の集客を持って幕を閉じた。今回はそんな彼女たちにとって、大きなターニングポイントになったフリーライブの裏側を語る。
──初の野外フリーライブ「わーすた x NEKONOTEBAND FREE LIVE ~ゆうめいに、にゃる!!!!!~」の開催が決まったときは、どんな気持ちでしたか?

三品 ずっと、やってみたかったことだったのでうれしかったですね。

廣川 メンバー全員がやりたいと思っていたんですけど、ちょうど4周年ライブが終わったタイミング(今年3月31日)でお話を聞いて、目に見えて集客力が分かるし、これは本気を出さなきゃってプレッシャーはありました。

──フルバンドで、過去にも共演経験のあるNEKONOTEBANDがバックを務めました。生バンドでパフォーマンスするのはいかがですか?

坂元 最初から最後までバンドの音でライブするのは不安でした。ただリハーサルを重ねていくうちに、バンドサウンドの方が1個1個の音が聴こえるので、リズムが取りやすくて踊りやすかったです。いつも以上にテンションも上がりますしね。

松田 バンドでやることで改めてわーすたの曲はいいなって客観的に思えたし、オケで歌うのとは違う楽しさがあるんですよね。

──バンドメンバーからの指示はあったんですか?

廣川 なかったですね。今回のバンマス兼キーボードの岸田勇気さんは、以前から私たちの音楽に携わってくれている方で、プロデュースもしてくれているので、質問すると、いろんなアドバイスをしてくれました。

三品 岸田さんとドラムのむらたたむさんは2017年4月にZepp DiverCityでフルバンドのワンマンライブをやったときにも共演させて頂いて、ギターのきこりさんとベースのtmswさんは今回が初めてでした。


──三品さんはライブで『PLATONIC GIRL』をエレキギターで披露しました。

三品 バンドのきこりさんに教えてもらったんですけど、本番で「このパートは自分だけで弾いて」と言われて、めっちゃビビりました(笑)。

松田 瑠香がギターレッスンを受けているところを見ることはなかったんですけど、メンバー全員でレッスンが終わった後に、瑠香だけギターレッスンが入っていて大きなギターバッグを持ち歩いているのを見るとジーンときましたね。

三品 アコギは1年半ぐらいやってますけど、エレキギターは普段弾かないので一から教えてもらったんです。わりと早い段階で『PLATONIC GIRL』は弾くことができたので、途中からは普通にギターレッスンをしてもらってました(笑)。

廣川 本番では私も歌うことに必死で瑠香を見ることができなかったんですけど、間奏のときにお立ち台で弾いてる姿が様になっていてカッコ良かったです。

三品 ギターが弾けるわーすたのスタッフさんに、「足を閉じて弾いた方がカッコいい」って言われたんですけど、本番では足を開いちゃいました(笑)。

──フリーライブをやるにあたって、動員ノルマがあったんですよね。

廣川 フリーライブ後に公開した映像で、ファンの方に知ってもらったんですけど、今回は「1500人以上集めないと来年3月に渋谷公会堂で開催するワンマンライブを発表できない」というノルマがあったんです。しかも言われたのがフリーライブまで2週間弱ぐらいしかない時期で……。それまではSNSで発信しても、ただ告知しているようにしか見えないのが自分の中では嫌で、なかなかファンの方に上手く伝えられなかったんですよ。でも、そのノルマを聞いたときに、これは達成できないとダサいなと思ったし、よりSNSにも力を入れるようになりました。


松田 個人的には大きな目標があって、そこに危機感を持ってやる空気感は好きだし、その方が燃えるので、スタッフさんが愛情を持ってノルマを設定してくれたのかなって思います。

──集客のために、どんな努力や工夫をしましたか?

松田 普段のツイッターでの告知は最低限の分かりやすい情報だけを書くことが多かったんですけど、フリーライブに行きたいと思ってもらえるように、わーすたの好き度を上げてもらおうと。そのために楽屋風景だったり、無邪気で可愛い姿だったり、アイドルに切り替わる姿だったり、私の大好きなメンバーの画像を切り取って動画にしてYouTubeで公開しました。それを観て行くことを決めたって言ってくれた方もいました。

小玉 みなさんが見てくれる時間を考えてツイートすることも意識しましたね。

三品 私はあまりSNSが得意じゃないんですけど、自分なりに頑張ったのと、1人で路上ライブもしました。最初は代々木公園でやろうとしたんですけど、告知をしてなかったので、人がいなさ過ぎて渋谷になったんです(笑)。立ち止まって聴いてくれる方もいたし、インスタライブをやってたので、それを観て駆けつけてくれた方もいて、すごく歌ってて気持ち良かったです。全部で4曲やったんですけど、アンコールもやりました。

坂元 どうにかしてツイッターを見てもらおうと思ったんですけど、普通に告知しても流れていくだけじゃないですか? なので固定ツイートはフリーライブにして、あとは、とにかく盛れた写真を載せるようにしました。普段は自撮りしか撮らないですし、いつも表情や角度が同じなんですけど、フリーライブ前はメンバーに撮ってもらったりしました。

廣川 ビラ配りもしましたね。
わーすたを結成したばかりで、まだ衣装もできてない状態だった頃、DiverCity周辺でビラ配りをやったことがあるんですけど、同じお台場でやったらエモいかなと。そしたら、たまたまイベントがお台場付近であったので、やらせて頂きました。

小玉 私はデビュー当時のビラ配りは学校のテストがあって参加できなかったんです。なので初めての経験だったんですけど、もらってくださる方も多くて、その場でフリーライブに行くよって言ってくださる方もいて楽しかったです。デビュー5周年目で新しいファンを増やしていかないと今後の状況も変わってくるので、わーすたにとってターニングポイントになる日だろうなと思って頑張りました。

廣川 フリーライブ前日にも、トレンド入りを目指そうということで、メンバー全員で同じハッシュタグを使ってランダムにリプ祭みたいなことをして4位に入ったんです。

──目標を達成する自信はありましたか?

小玉 SNSでの反響も大きかったので、達成できるだろうって自信はありました。

松田 普段から「わーすたのライブに行きたいけど、気軽に行けない」という意見をツイッターで見ていたので、フリーライブはうってつけだなと。そこに通りすがりの方や、いつも来てくださるファンの方が集まれば、1500人はクリアできると思ってました。

──本番前はどんな雰囲気だったんですか?

三品 それが私、すごい失態を犯してしまいまして……。集客数が気になって、1時間置きぐらいに「今、整理券どれぐらいですか?」ってスタッフさんに聞いてたんです。本番が近づいてくるとスタッフさんも結果を濁し始めたんですけど、それを私は察することができずに、違うスタッフさんに聞いちゃったんですよ。
そしたら「1500人ちょっとかな」って教えてくれたんですけど、本当はメンバーに隠しておきたかったらしいんです。でも、それを聞いた私は盛り上がっちゃってメンバーに知らせたんですよ。それを見て、隠していたスタッフさんは「あちゃー」って表情でした(笑)。本当はライブ終盤のタイミングで発表したかったみたいなんですけどね。

──スタッフさん同士の連携が上手くいってなかったんですね(笑)。

三品 私的には安心してライブをやりたかったので知れて良かったんですけどね。

松田 そのおかげでメンバー全員が良い表情でライブをすることができました。

廣川 瑠香がメンバーに知らせたときは私だけ席を外していたんですよ。遅れてその場に行ったらメンバー4人とスタッフさんが唖然とした表情で(笑)。それを見た瞬間、何となくサプライズが失敗したのを察して少し気まずかったです。

松田 ただ最終的に3000人以上が集まったというのをライブが終わった後に聞いて、それが本当のサプライズでした。

──目標の倍じゃないですか!

松田 そこまで動員していたと思わなかったので、みんなで泣きました。


三品 わーすた史上、最高動員数だったんですけど、ステージ上から見ると後ろまで人だらけで、どれぐらいいるかは予想もつかなかったです。

──バンドメンバーは緊張してなかったんですか?

三品 全然してなかったんですよ。

廣川 私たち以上に場慣れしてますから(笑)。

──ステージに出た瞬間の光景はいかがでしたか?

小玉 出た瞬間、見たことのない景色だったので、いきなり泣きそうになりました。わーすたのために、こんなに大勢の人が集まってくれたのがうれしかったです。

──フリーライブが成功して、何か変化はありましたか?

廣川 メンバーそれぞれに自信がついたことが大きかったですね。ずっと活動してきて、徐々にわーすたという名前が広まっている感覚はあっても実際に数字で表れないと、なかなか自信には繋がらないんです。今回、3000人が集まったと聞いて、もっとやれると思ったし、今開催中のツアーもフリーライブがきっかけで来てくださった方もいるし。フリーライブ前は大きな挑戦だなと思ってた渋谷公会堂でのワンマンライブも、今ならソールドアウトできるだろうって自信もあって、本当に良い経験をさせてもらいました。

──今お話しに出たツアーの見どころを教えてください。

小玉 今回は初めて演出家の方に入って頂いたんです。今までスタッフさんとメンバーでツアーの内容を考えていたんですけど、私たちでは考えられないような演出だったり、曲の中での工夫が施されていて。
初めて見る方はもちろんなんですけど、5年間わーすたを応援してくれる方でも飽きないセットリストになっています。

──最後にニューシングル収録曲のライブでの楽しみ方を1曲ずつ教えてください。

廣川 『遮二無二 生きる!』はサビでハートのマークを作るところがあるんですけど、そこで私たちと一緒に跳んでほしいです。あとガチ恋口上をする部分があるので、MVで覚えてライブでやってほしいです。

三品 『バスタブ・アロマティック』はサビで可愛く手で泡を作る振り付けがあるんですけど、まだあまりライブでは浸透してないので(笑)。ぜひ私たちと一緒にやってください!

松田 『Do on Do ~坊っちゃんいっしょに踊りゃんせ~』はツアー初日に初披露したんですけど、和テイストのバキバキに踊る曲で、エイベックスらしいダンスを踊っているので、そこに注目してください。

坂元 『SHINING FLOWER』は手を回す振りが多いので、一緒にやってほしいです。あとサビでメンバーがお客さんに向かって指差しをするんですけど、レスが自分に来るかもしれないのでぜひとも見逃さないでください!
▽わーすた
松田美里、三品瑠香、廣川奈々聖坂元葉月、小玉梨々華の5人からなる2015年結成のアイドルユニット。「わーすた」は「The World Standard (世界標準)」の略称。世界に照準を合わせて活動しているデジタルネイティブ世代アイ­ドルで、SNSとリアルアイドル活動を通じて世界にKAWAIIジャパンアイドルカルチャーを­発信している。

( 取材・文/猪口貴裕)
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