『月刊エンタメ』に連載中の「井上咲楽の政治家対談」、今回は国民民主党代表を務める玉木雄一郎議員がゲストに登場。若者から多大な支持を受ける理由や、圧倒的に優れた“若者感覚”、そして昨今の新型コロナ問題について語る。
(5回連載の1回目)

【写真】流行りの曲を弾き語りで披露してくれる玉木雄一郎議員と、盛り上がる井上咲楽

※取材は2020年3月16日に行いました。

玉木 咲楽ちゃんとはこれまでにネット番組や雑誌の取材で何度も会ったことがあるし、もうプライベートの話だけでもいいくらいだよね?

井上 いやいや、政治のことも聞かせてくださいね(笑)。プライベートは何か新しいことはありましたか?

玉木 最近でいうと、僕、ピアノを弾いているんだよね。

井上 ピアノですか!? そういえば、インスタであいみょんさんの曲を弾き語りしているのを見ました。

玉木 『マリーゴールド』、いい曲だよね。それで、実は事務所の奥の部屋にもピアノを置いているんだよ。

井上 本当だ、すごい!

玉木 カシオの電子ピアノ。これは政治資金で買ってないからね。ちゃんと自腹だから(笑)。

井上 疑ってないですよ(笑)。でも、何でわざわざ議員会館の事務所にピアノを?

玉木 昨年12月にYouTubeの「たまきチャンネル」で共産党の志位(和夫)委員長と対談をさせてもらったの。志位さんと言えば、ピアノがお得意だから弾いてもらおうと思って用意したんだよね。
当日お願いしたら目の前でショパンを披露してくれて。かっこいいから僕もやってみようかな、と。実際、始めてみたら楽しくてね。

井上 そして新たな趣味に?

玉木 そう。ちょっと弾こうか?

井上 え? は、はい。

(やや困惑気味のイノサクさんの前で、演奏を始める玉木氏。菅田将暉の『さよならエナジー』の一小節を歌い上げ終了かと思いきやKing Gnuの『白日』、Official髭男dismの『Pretender』を弾きながら熱唱)

井上 すごい。全部、最近の歌じゃないですか。ビックリしました。

玉木 国会議員でKing Gnuを弾いて歌える人はあんまりいないかもね。

井上 確かに。独学なんですか?

玉木 そうそう。
高校時代に軽音部でギターを弾いていたから、ギター譜を見ながら練習している。

井上 それで弾けちゃうものですか。

玉木 最近の電子ピアノはキーボードが光ってナビゲーションしてくれるから、助かるよね。議員宿舎でも弾いていますね。

井上 宿舎には別のピアノも! でも玉木さんって確か、大学生の息子さんと2人暮らしでしたよね?

玉木 うん。「うるさいからやめろ」って怒られているな~。

井上 息子さんから(笑)?

玉木 そう。だから、小さい音にして練習してる(笑)。ピアノはなかなかうまく弾けないのがいいよね。人はうまくできないことに挑戦していると、没頭するじゃない? その間は他のことを忘れられるので、いい気分転換になるんだよね。

井上 国民民主党を取り巻くニュースを見聞きしていると、「玉木さん、大変そうだな」と思うことが何度もあります。でも、心配しながらお会いすると、ハイテンションで迎えてくださるから、どうやって気持ちを立て直しているんだろう? と不思議だったんです。


玉木 今までは没頭する趣味がなくても大丈夫だったんだけどね。いよいよ何か必要なタイミングでピアノが趣味に加わったことで、まだまだ明るくいけるよ(笑)。wacciの『別の人の彼女になったよ』も弾いていいかな?

井上 いやいや(笑)。もうウォーミングアップ十分です。

井上 玉木さんはYouTuberでもあり、ツイッターや、インスタ、フェイスブックも活用されていて、SNS巧者ですよね?

玉木 さっき話に出た『マリーゴールド』の動画はインスタのストーリーズに載せたら、10万回くらい再生されたんだよ。

井上 すごいですね!

玉木 ある高校生がインスタのストーリーズをキャプチャーしてツイッターに転載してくれて、そこからさらに拡散していった。24時間で消えるストーリーズにアップしたのはあまり長くネット上に残るのも恥ずかしいからだったんだけど、結果的にはいつでも誰でも見られる状態になっているという(笑)。

井上 SNSはご自分で管理されているんですか?

玉木 ツイッターは全部自分でやっているけど、インスタの運用は大学生に手伝ってもらっている。餅は餅屋だからね。僕のインスタ、自分で言うのもなんだけど、国会議員としてはハチャメチャじゃない(笑)。あれは、大学生に任せているから出る面白さだと思う。

井上 完全にお任せなんですか?

玉木 一応、投稿前に連絡をくれるけど、基本「好きにやって」というスタンス。
その方が同じ感覚を持った人に浸透しやすいし、「おじさん絵文字」とか嫌われるからね。

井上 反応は大きいですか?

玉木 見てくれた人との距離感が近いし、効果は感じている。たとえば、世論調査をすると、国民民主党は29歳以下の男女からの支持が意外と高い。「支持率が1%の党」と言われるけど、若い層からまあまあ支持されているんだよ。

井上 SNSの使い分けも意識されています?

玉木 YouTubeとツイッターが外向け。インスタとフェイスブックは身内向けという感覚だね。国政選挙で大きく拡散しようと思ったら、YouTubeとツイッターを絡めるのが一番いい。地方選挙なんかだと5000人まで友達が作れるフェイスブックがうまく役立つと思うよ。

井上 何だかSNSのアドバイザーみたいですね。

玉木 ネット向けの広告費が2兆を超えて、テレビを上回ったというニュースがあったけど、今後もその傾向は続くし、SNSも政治家にとって完全に無視できない存在。我々もどちらかと言えば、人に見てもらう商売なので、映える写真を撮り、刺さるコンテンツをアップすることが大事。僕は藤田ニコルさんや田中みな実さんのインスタも、参考にしているよ。


井上 え~!

玉木 やっぱりバズる人のことはチェックしている。上手だなあと思いながらね。

井上 今はSNSで情報を仕入れる層も増えていますからね。

玉木 今、国民民主党は野党第二党で、新聞、テレビといったメディアに大きく取り上げられるのは与党と野党第一党。それは仕方がないことだから、別のフィールドであるSNSを通じて特に若い支持層を広げていこうと力を入れている。もちろん、政策を伝えることは意識しているけど、その前段階として政治や政治家に興味を持ってもらえたら……と。政治家は怖そう、頭固そう、近寄りがたい。そんなイメージを覆したいし、僕のストーリーズを見て「あ、この人は政治家“も”やっている人なんだ」って感じで受け取ってくれたらいいよね。

井上 “も”。

玉木 そう。ちなみに、インスタを手伝ってくれている大学生はこの前、友達から「あんたの推しの人が昨日、テレビのニュースに出ていたよ」と言われたらしい。僕は推し扱いかい! とツッコミつつも、そういうつながり方もありなんだなと(笑)。


井上 選挙でもSNSは重要な役割を担ってきていると思いますが、年配の議員さんほど「1軒1軒回って、足で稼いで」と言われますよね?

玉木 僕はどっちも大事だと思う。アメリカ大統領選挙でも、最後はドアノックで訪問していって「お願いします」が基本だからね。ただ、今回の新型コロナウイルスの影響で、ネットを通して物事を進めることが定着していくのでは。合わせて政治家の選挙活動のあり方にも変化が出るんじゃないかな。

井上 なるほど。

※インタビュー(2)「コロナ不況にならないよう、与野党関係なく全力で」はこちらから。

(取材・文/佐口賢作)
▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter:@bling2sakura

▽玉木雄一郎(たまき・ゆういちろう)
1969年5月1日生まれ、香川県出身。東京大学卒業後、財務官僚を経て、2009年、衆議院議員に。現在、国民民主党代表。YouTube「たまきチャンネル」放送中。
Twitter:@tamakiyuichiro
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