『東京ラブストーリー』は、1988年より『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載された柴門ふみの漫画で、その後1991年にフジテレビでドラマ化された。
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【写真】赤名リカを演じる石橋静河
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──赤名リカはどこか浮世離れしているキャラクターという印象があります。
石橋 私自身、リカに振り回された感じはあります(笑)。「どうしていまこんなことを言うんだろう」とか「なんでいまそんなに怒るんだろう」とか、初見では理解できない言動が多いので苦戦しました。
──撮影していくなかで理解を深めていった感じでしょうか?
石橋 最初は3人いる監督が持っているそれぞれのリカ像に助けられました。監督やスタッフの方から「いまのはリカだね」と言われていくうちに赤名リカに近づいていった気がします。最終的には自分が納得できるリカを演じるために、その言葉に至るまでの気持ちを探っていかなきゃいけないので、「少しずつ近づいて」「近づいたら離れて」を繰り返しました。
──リアリティのある人物として赤名リカを演じられましたか?
石橋 リカは、ものすごく大胆ではあるんだけど、その反面、誰よりも繊細で、誰よりも傷つきやすい。なのに「傷ついてない」と言ってしまう。身も心も裸のまま戦場に行ってしまうような女性だなと、愛おしさを感じた分、演じていて苦しくもなりました。
──石橋さんがこれまで出演された作品を観ていると、役に寄り添っているので実際に存在する人物のように感じることができます。
石橋 いないですよね(笑)。だから、自分にとっては挑戦になりました。いままでは映画のお仕事をやらせていただくことが多くて、いわゆる映画的な時間の使い方をしてきた作品に出逢ってきたんです。今回はドラマということで、期間内にたくさんのシーンを撮らなきゃいけないし、3人の監督の方にそれぞれの意志があって。自分がリカを理解するまでは手探りの状態でしたけど、頭でっかちになると動けなくなってしまうので「みんなに助けてもらえればいいや」と悩みすぎないように、まわりの方に頼りながらリカを作っていきました。
──日常生活までリカに持って行かれそうになることはなかったですか?
石橋 私生活までリカになったら大変ですよね(笑)。そうならないように気持ちを切り替えるようにしていました。ただ、撮影が終盤に近付くとリカは切ない方向に進むので、その時期は切ない感情が残ってしまうことがありましたね。
──『東京ラブストーリー』出演にあたって、石橋さんの中で「映画女優」で括られない自分を見せたい、という気持ちはありましたか?
石橋 いやぁ、まったくそんなことは考えてなくて。いろんな作品、いろんな監督に出会いたいという気持ちはありますが、最終的には自分に与えられた役を表現して形にすることしかないと思っているので。それ以外は、ある意味で邪念というか。
──永尾完治を演じた伊藤健太郎さんはどんな方でしたか?
石橋 自分とは全然違うタイプの役者さんだなと感じました。役へのアプローチの仕方が勉強になりましたし、「カンチっぽいな」と感じる瞬間がいくつもあって、私は何度も助けられました。
──ドラマの中でよく映るスポットってあるんですか?
石橋 東京タワーのまわりでかなり撮影しましたね。
──東京スカイツリーじゃないんですね。
石橋 そうでした。私自身、東京タワーが好きですし、見るとホッとします。オレンジの温かい色がいいのかもしれません。海外から戻ってきて東京タワーが見えると「帰ってきたな」という感覚になるんです。
──石橋さんは「東京」にどんな想いがありますか?
石橋 東京って難しいですよね。自分の生まれた街ではあるんだけど、いわゆる東京タワーが見えるような場所で育ったわけじゃなくて。
▽東京ラブストーリー』
話数:全11話
配信:FOD、Amazon Prime Videoにて
2020年4月29日(水)0時より配信スタート
毎週水曜日0時最新話配信
▽ 公式サイト https://www.fujitv.co.jp/tokyolovestory/
▽FOD配信ページ https://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4h06/