2002年6月にグラビアデビューした蒼井そら。
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──ご自分の半生をテーマにした小説という企画を聞いたとき、どんな印象を持ちましたか?
蒼井 私を物語にして面白いのかな、何にもないですよと思いました(笑)。でも担当編集の方から、「この小説を通して女性へのメッセージを届けたい」と熱く語っていただいて、私自身がやりたいことと共通していたのでお受けしました。
──藤原亜姫さんの視点で大胆に描かれたストーリーを読んで、どんな感想を持ちましたか?
蒼井 5カ月間、2~3週間に1回のペースで取材を受けたんですが、根掘り葉掘りエピソードを拾ってもらったら、意外にいろいろあったんだなと。けっこう私って大変な人生だったんだなと感じました。
──長期間に渡って自分の半生を振り返るってめったにないことですよね。
蒼井 ここまでディティールを振り返ることがなかったので楽しかったです。
──小説の心情は、蒼井さん自身の心情に近いものですか?
蒼井 周りの登場人物は脚色も入っていますけど、私自身のことに関しては、ほぼ脚色せずに書いていただきました。
──小説の中で、事務所に入ることを決意するときも、初めてのAV撮影の後も、主人公・そらの強さがすごく印象に残りました。
蒼井 やると決めたからには、絶対にやり通さなきゃという気持ちで事務所に入ったので、後悔してはいけないという覚悟があったんです。振り返らずに前を向いて、「やってやろう!」という強い気持ちでした。
──小さい頃から、芯の強さは持っていたほうですか?
蒼井 お母さんと話していて、「あなたは昔からやると決めたらやる子だよね」と言われて、昔からそういう性格だったんだなと気づきました。
──AVの世界に入って、意に沿わないことや辛いこともたくさんあったかと思いますが、どのように乗り越えてきたんですか。
蒼井 周りに支えてくれる人がいたことですね。友達もそうですし、業界のことを分かっているマネージャーさんと腹を割って話すことができたのも大きかったです。
──最初からマネージャーさんには心を許すことができたんですか。
蒼井 そうですね。今考えると怖いですけどね(笑)。騙されやすい性格だったらヤバかったなと思います。でも最初から親身になって相談に乗っていただきましたし、悩んだときも話を聞いてもらっていました。
──長く続ける上で、何がモチベーションになっていましたか?
蒼井 走り出したら辞めることは絶対にないなと思っていました。
──AV女優をやっていた頃の蒼井さんは、プロ意識の強いイメージがありました。もともと、AV女優にどんなイメージを持っていましたか?
蒼井 人前でセックスを晒すことに良いイメージを持っていなかったので、デビューする前に思い描いていたAV女優像はすごく悪かったんです。ただ、それって世間一般が思っているイメージと同じだなと思ったんですよ。自分自身がAV女優に後ろ指を指しているのかもしれないし、職業として否定しているのかもしれない。世間からマイナスなイメージで見られるのは仕方がないけど、だからこそ上を目指して、真っ当に仕事を続けることを大切にしていました。
──デビュー当時から、そういう気持ちだったんですか。
蒼井 絶対に否定的なことを言われると思っていたから、それに負けないようにしなきゃと。そこで気持ちが負けては続けられないと思っていたので、何か言ってきた人がいたら「負かすぞ!」ぐらいの気持ちでやっていました。
──二十歳前後で、そこまで強い気持ちを保っていられるのはすごいことです。
蒼井 やっぱり周りに支えてくれる人がいたからですね。たとえばメイクさんだったり、カメラマンさんだったり、監督さんだったり、アダルトの仕事に携わる人たちが悪いのかというとそうではないし。
──小説の中でテレビに出演した際に、スポンサーがNGを出し降板させられる、というシーンが印象的でした。これは実際にあったことなのでしょうか?そして世間のAVに対するイメージで苦労したこと、また、それについて思うことがあれば教えてください。
蒼井 脚色もありますが、テレビはスポンサーさんあってのテレビだし、商品のイメージが下がるものはダメだよねって今振り返ったら分かりますけど、当時はショックでした。降板させられたときは、「絶対にメジャーになって後悔させてやる」みたいなことを考えていましたし、それが力にもなりました。そのためには、もっと有名にならなきゃと思いました。
※インタビュー(2)「蒼井そらが語る中国での活動とSNSとの付き合い方」はこちらから
▽『夜が明けたら 蒼井そら』
著者:藤原亜姫
出版社:主婦の友社
発売日:6月19日(金)
定価:1,540円