ビッグダディの三女で、女子プロレス団体・スターダムのチャンピオン、林下詩美。昨年11月に『女子プロレス界のアイコン』こと岩谷麻優を撃破して、ワールド・オブ・スターダムのベルトを巻き、頂点に立った。
3月3日(水)に日本武道館で10周年記念大会を控える今、チャンピオンとしての心境、そしてビッグダディの三女として注目されることについて、本音を語ってもらった。(前後編の後編)

【写真】リングで闘志を剥き出しにする林下詩美

3月3日(水)、女子プロレス団体・スターダムが日本武道館で10周年記念大会『ALLSTAR DREAM CINDERELLA』を開催する。現在、スターダムの最高峰である『ワールド・オブ・スターダム』の赤いベルトを保持しているのは林下詩美だ。

そういってもピンとこないかもしれないが「あのビッグダディの三女」と言えば、誰もが知っている存在だろう。地上波のゴールデンタイムでおなじみだった娘が、いまやチャンピオンとして日本武道館のリングに立とうとしているのだ。

日本武道館での防衛戦の相手は上谷沙弥に決定した。
 
上谷は『バイトAKB』としてアイドル活動をしてきた経歴を持つ注目株。器械体操での経験を活かし、難易度超A級の飛び技『フェニックススプラッシュ』をマスターしたことで急速に台頭。今年1月5日には新日本プロレスの東京ドーム大会にも第0試合として参戦し(林下詩美も出場)、ダイナミックな飛翔で普段、女子プロレスを見ないファン層の目を惹きつけてみせた。

じつは林下詩美と上谷沙弥は同じQueen’s Questというユニットに所属し『AphroditE』というコンビを組んで、昨年の暮れまでタッグ王座を保持してきた「盟友」でもある。そんな二人が日本武道館のリングで対峙する。

「私がパワーで魅せれば、上谷は華麗に飛ぶ。
はじめてプロレスを見る人にもわかりやすい試合になるんじゃないか、と思います。私自身、プロレスってすごく野蛮で殴り合うっていうイメージしかなかったんですけど、中学生のとき、紫雷イオさん(元・スターダム、現・WWE)の試合を見て、いっぺんに女子プロレスのイメージが変わったんですよ。そして『私もあんなに輝いている存在になりたい』って、女子プロレスラーに憧れるようになった。人見知りで、それこそ家族としか話せなかったような私を、プロレスが変えてくれたんです。
 
だから武道館で私と上谷の試合を見て、たくさんの人に『女子プロレスって、こんなにも華やかで綺麗で、強くて美しいスポーツなんだ』と知ってもらいたいし、納得していただける試合をする自信もあります。私と上谷のキャリアを足しても5年もないんですよ。その若いふたりが10周年のリングでスターダムの未来を見せることができれば」
 
10万円もするVIP席が即完したのと同時に、女性ファンのために見やすい価格で販売された『ひな祭り女性限定シート』もすぐに売り切れ、急きょ、追加販売されるなど、新しいファンは確実に増えてきている。この傾向を武道館をきっかけにさらに加速させたい、と林下詩美は考えている。

「私が紫雷イオさんに憧れて女子プロレスラーを目指したように、私もたくさんの人に憧れられる女子プロレスラーになりたい。女子プロレスラーといえば林下詩美だよね、と言われるような存在になって、もっともっと若い人や女性にプロレスを届けていきたい。
 
そこは入場するときから、すごく意識していますね。かっこよく、堂々といよう、と。
私、普段はポンコツな部分もあるんですけど、リングに上がると別人になれるんですよね。そんな姿を日本武道館でぜひ、見ていただきたいです」
 
コロナ禍でさまざまなスポーツやエンターテインメントが制限を受けている。もちろん、プロレスもそのひとつなのだが、言葉を必要とせず、肉体だけで観客に夢と勇気と元気を与えることができるプロレスは『withコロナ』の時代、ものすごく強いコンテンツでもある。
 
新しい女子プロレスの息吹が日本武道館から全世界に発信される。その歴史的な瞬間を日本武道館で体感していただきたい。

【前編】ビッグダディの娘からレスラーへ…林下詩美が語る苦悩からの脱却「SNSでいろいろ言われて…」はこちらから。
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