ブラザー工業は5月27日、東京ショールーム(京橋)の一部をリニューアルした体験施設「BROTHER JOYFACTORY TOKYO」の発表会を開催しました。
侍・書道・カラオケといった日本文化の体験とオンデマンドのグッズ製作をシームレスに融合し、国内外への展開を見据えた新たな挑戦です。
体験とものづくりをつなぐ「愉快な工場」 - ブラザーが仕掛ける新エンタメ施設
施設名「BROTHER JOYFACTORY TOKYO」の由来は、ブラザー工業の創業精神「愉快な工場」。施設内では侍になりきったり、書道を体験したりと、日本文化をベースとした体験コンテンツを複数展開。体験するだけでなく、それをTシャツなどのカタチにして持ち帰ることができます。
メインコンテンツの「SAMURAI LEGEND(侍伝説)」では、参加者が侍装束を身にまとい、映像演出と連動したアクションを体験できます。
参加者がお手本にならって演武をするとそれがスコア化され、ラストにはさながらアーケードゲームのようにランキングが表示されます。
体験の様子はAIによって力強いビジュアルのショート動画に仕上げられ、データがプレゼントされるほか、その場で自分の侍姿をオリジナルTシャツとしてプリントできます。侍になりきった体験をすぐさまTシャツとして残せるところに、ブラザーの技術が生かされていると感じました。
「SHODO STAGE(書道ステージ)」では、ブラザーが開発中の没入空間創造システム「ROOMDIVE(ルームダイブ)」が導入されており、イマーシブな空間演出を体感できました。筆に墨汁ではなく水を付けて書くのですが、かなり正確に参加者の筆運びをデータ化できていて驚きました。
「KARAOKE RECORD(カラオケレコード)」では、業務用通信カラオケ「JOYSOUND」を展開するエクシング(U-NEXT.HD)の楽曲提供・技術協力のもと、本格的な録音環境での録音体験が楽しめます。カラオケのテロップにはふりがながつけられ、イントネーションは録音後にナチュラルに補正するなど、外国人観光客が参加しやすい仕組みとなっていました。
ちなみに、ブラザーの事業としてなじみ深いミシンを使った体験も用意されています。直線縫いだけで作れる小物などを用意し、「自分で作る」体験を提供します。
『攻殻』『モンハン』のクリエイターが参画、「簡単すぎない」体験にこだわった開発の裏側
ブラザーの創業時から受け継がれてきた「愉快な工場を作る」という精神。それを体現した施設のオープンに際して、ブラザー販売の安井宏一 取締役社長は「ブラザーの技術によって体験をグッズとして持ち帰れるようにする仕組みを、観光地や人気IPなどとの協業でグローバルに広げていきたい」と意気込みを語りました。
このプロジェクトを主導したブラザー販売の兼弘友里恵 取締役は、同施設の最大の魅力は、「ものづくりと体験をひとつなぎにすること」と表現。「体験」と「製品化」を高いレベルで同時に提供できる施設は、国内外でもほかに例がないと胸を張りました。
同施設の体験コンテンツには、ゲームや映像といった分野の有名クリエイターが参画。ブラザー販売 企画担当の若山勝氏が、AIシステム開発を行うLVM社の齊藤雄一氏に「忍者・侍・怪獣を使った体験施設を作りたい」と相談したことが出発点となりました。
構想初期、齊藤氏がコミコンのTシャツ制作ブースを視察した際、会場全体の外国人比率は約5%でありながら、Tシャツ制作の参加者の約9割が外国人だったという事実に着目。自ら体験・制作することへの親和性が高い海外の人々の姿から、「自分がIPになる」感覚に大きな可能性を見出したと明かしました。
映像演出・モーション監修を担当したのは、『攻殻機動隊 SAC_2045』など数々の有名作品に携わった荒牧伸志監督。同氏が所属するSOLA DIGITAL ARTS 執行役員 CTOの笹倉逸郎氏は、リアルタイムで一人ひとりに“かっこいい映像”を届けるにあたって、時間的制約と品質の両立が最大の難関だったと語りました。
ゲーム体験の監修を担当したゲームプロデューサーの小嶋慎太郎氏は、『モンスターハンター』シリーズなど数々の大型タイトルを手がけてきた知見をもとに、「簡単なものは記憶に残らない」として、あえて苦労を設計に組み込んだと説明。刀の重さや書道・カラオケへの真剣な取り組みが、エンゲージメントと思い出の深さにつながると強調しました。
訪日客だけでなく推し活勢も取り込める? 今後のIP展開に注目
「BROTHER JOYFACTORY TOKYO」の体験コンテンツの題材は侍・書道・カラオケと、インバウンド需要を強く意識した「わかりやすい日本」で構成され、外国人観光客向けという印象が拭えず、日本人目線では一歩引いた見方をしてしまうところがありました。
気になるのは今後のIP展開です。日本人はシャイな気質から、自分の顔が記録に残る体験を好まない傾向があるかもしれません。しかし「推し」が絡めば話は別で、コミコンでもセレブとのセルフィー撮影に高額を投じてでも参加する人は少なくありません。IPとの連携次第では、インバウンド客だけでなく推し活勢にとっても見逃せない施設になる可能性を秘めているのではないでしょうか。今後の展開にも注目していきたいです。











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