Jリーグには多くの外国人プレイヤーが在籍している。2019シーズンより外国籍選手の登録人数に制限はなくなり、試合はJ1で最大5人、J2・J3で最大4人までのエントリーが可能だ。
Jリーグ在籍中に活躍し応援していた外国人プレーヤーが、日本を離れた後どうしているか?その情報は非常に少なくフォローできなくなるケースも多い。
ここでは、2020シーズンを最後に日本を離れた元外国人Jリーガー17人の現状を紹介しよう。今はどこでどんな活躍をしている?
(出場回数や得点数は『Transfermarkt』データより)

ク・ソンユン(元北海道コンサドーレ札幌)
韓国で兵役服務中
2015年から北海道コンサドーレ札幌のゴールを守った韓国人GKク・ソンユン。コロナ禍でJリーグが中断中の2020年5月29日、当初の予定よりも早く日本を離れることを決意し、Kリーグ1(韓国1部)の大邱FC(テグ)に移籍した。
その後2021年2月3日、韓国の成人男性に課せられる約2年の兵役義務を果たすために国軍体育部隊として存在するチーム、金泉尚武FC(キムチョン・サンム)へ入隊している。
金泉尚武は、2020シーズン尚州尚武FC(サンジュ・サンム)という名称でKリーグ1を4位で終えたが、2021シーズンは本拠地を尚州(サンジュ)市から金泉(キムチョン)市に移して名称も変え、韓国プロサッカー連盟の規定に基づきKリーグ2(韓国2部)からの再スタートとなっている。
レオナルド(元浦和レッズ)
中国山東泰山で9番
ガイナーレ鳥取(2018)アルビレックス新潟(2019)を経て、2020年浦和レッズでプレーしたブラジル人FWレオナルドは、2021年2月22日に中国サッカー・スーパーリーグ(中国1部)の山東泰山に加入した。
山東泰山でストライカー番号「9番」を背負うレオナルドは、2021シーズン開幕戦となった重慶力帆との試合で途中出場し、中国での初得点を挙げて同クラブを勝利に導いている。
現在中国スーパーリーグは第5節を終えたところ。レオナルドは開幕戦の得点以降ゴールに恵まれずも、山東泰山は3勝2引分けでグループAの先頭に立っている。
エヴェルトン(元浦和レッズ)
ポルティモネンセで10番
レオナルドと時期を同じくして浦和でプレーした(2019-2020)ブラジル人MFエヴェルトン。現在はプリメイラ・リーガ(ポルトガル1部)ポルティモネンセで「10番」を背負う。
ポルトからのレンタル移籍で浦和にやってきたエヴェルトンは、69試合に出場し7ゴール1アシストを記録。一旦ポルトへ戻った後、2021年1月7日にポルティモネンセに2度目のレンタル移籍となった。かつての在籍(2014-2018)も含めると、3度目の加入となる。
プリメイラ・リーガでの2020/21シーズン後半は、センターハーフ、サイドハーフ、あるいはトップ下として活躍。イエローカードがやや多くも(7枚)、エヴェルトンの活躍もあってポルティモネンセはリーガプロ(ポルトガル2部)への降格を避けることに成功した。

ファブリシオ(浦和レッズ)
ポルティモネンセにレンタル移籍中
エヴェルトンがプレーしているポルティモネンセには、浦和からレンタル移籍中の選手が2人いる。
うち1人が、2016年に鹿島アントラーズでJリーグ初経験を積んだブラジル人FWファブリシオだ。2018年より浦和に加入し、2020年8月24日にポルトガルの古巣であるポルティモネンセにレンタル移籍となった。
プリメイラ・リーガの2020/21シーズン開幕となったパソス・デ・フェレイラ戦(2020年9月21日)では1得点を挙げ、試合は1-1で終了。シーズン中には29試合に出場し、4ゴール1アシストという結果を残している。
マウリシオ(浦和レッズ)
ポルティモネンセにレンタル移籍中
浦和からポルティモネンセへレンタル移籍しているもう1人の選手は、2017年から浦和に在籍中のブラジル人DFマウリシオだ。
浦和加入後は多くの試合に出場してきたマウリシオだが、2020シーズン前半に新加入DFトーマス・デンとのスタメン争いによってリーグ戦出場はわずか2試合となり、上述のファブリシオと同じタイミングでポルティモネンセにレンタル移籍。ポルトガルではメインのセンターバックとしてほぼ全ての試合で起用されている。
なお、ファブリシオとマウリシオのレンタル期間は6月30日まで。新型コロナウイルスによる厳しい情勢の中、浦和での復活が実現するのはいつになるだろうか。

オルンガ(元柏レイソル)
カタールでゴールラッシュ継続中
2018年8月10日に柏レイソルに加入し、多くの得点を重ねたアフリカ人FWマイケル・オルンガ(日本登録名オルンガ)。2020シーズンには28得点を記録しJ1リーグ得点王となった上、アフリカ人初となるJリーグMVPにも輝いた。
シーズン終了後の2021年1月12日、スターズリーグ(カタール1部)アル・ドゥハイルへの電撃移籍が発表された際は、多くの柏サポーターが悲しんだことだろう。
オルンガのゴールラッシュは、カタールでも止まらない。アル・ドゥハイルでは19試合に出場し15得点を記録。さらに1月25日に行われた国内カップのアル・アハリ戦、そして4月22日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)エステグラル戦では、ハットトリックを挙げている。
ジオゴ・マテウス(元川崎フロンターレ)
母国ブラジルで活躍中
2020シーズン、カンピオナート・パウリスタ・セリエA1(ブラジル・サンパウロ州1部)のフェロヴィアリアから川崎フロンターレに期限付きレンタルで加入したブラジル人DFジオゴ・マテウスは、期間満了により1年限りでブラジルに戻ることとなった。
2018年にフェロヴィアリアに移籍後はレンタルで転々としてきたジオゴ・マテウスだが、ようやく同クラブの一員としてピッチで実力を示す時が来たようだ。
カンピオナート・パウリスタでの2021シーズンは、現時点までにメンバー入りをしなかった試合はわずか2試合。第1節のAAインテルナシオナル戦と、第12節サンカエターノ戦のみである。
エリキ(元横浜F・マリノス)
中国長春亜泰で11番
2019年にカンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル1部)のパルメイラスから横浜F・マリノスにレンタルでやってきたブラジル人FWエリキは、期限付き移籍期間満了により2021年1月に横浜を離れた。
エリキは母国のパルメイラスにも別れを告げ、2月25日に中国スーパーリーグ長春亜泰への完全移籍を果たす。現在「11番」を背負い戦っている。
中国スーパーリーグは5節目を終えたところだが、エリキは全試合に出場するも現時点での得点はわずか1点に留まっている。

ジョー(元名古屋グランパス)
コリンチャンスと訴訟中
2020年6月21日に名古屋グランパスから契約解除が発表され、3度目となる母国カンピオナート・ブラジレイロ・セリエAのコリンチャンスでプレーする元ブラジル代表FWジョー。
Jリーグでは2018年の得点王に輝くなど活躍するも、現在はゴールの数が減ってしまっている。さらには同じ試合で2度PKを外したり(2020シーズン第4節コリチーバ戦)、相手選手の脇腹を殴打(2020シーズン第8節サンパウロ戦)するなどし、サポーターの怒りも浴びているようだ。
そんな“問題児”ジョーだが、名古屋グランパスともトラブルを抱えている。
オ・ジェソク(元名古屋グランパス)
9年ぶりKリーグで活躍中
ガンバ大阪で7シーズン(2013-2019)、名古屋で2020シーズンを過ごした韓国人DFオ・ジェソクは、9年ぶりに韓国サッカーへの復帰を果たした。現在所属しているクラブはKリーグ1の仁川ユナイテッドである。
Kリーグ1は第18節を終えたところだが、オ・ジェソクはうち15試合でメイン右サイドハーフ、または右サイドバックとして活躍している。
名古屋を離れる際は「グランパスからは延長オファーもいただきましたが、韓国でプレーすることも自分の夢として持っていましたので、今は一度、韓国に戻る決断をしました。でもグランパスには必ず戻って来たいと思っています!ファミリーの皆さま、また会いましょう」とコメント。同クラブへ2度目の移籍はあるだろうか?
ティーラシン・デーンダー(元清水エスパルス)
母国タイでリーグ優勝
2018年にサンフレッチェ広島でJリーグデビューを果たし、2020シーズンに清水エスパルスの選手となったタイ人FWティーラシン・デーンダー。母国タイに戻り、2020年12月23日にタイ・リーグ1(タイ1部)パトゥム・ユナイテッドに加入した。
タイ・リーグ1の2020シーズンは、新型コロナウイルスの影響で通常の2月~10月開催から延期が続き、2021年3月末に終了したばかり。ティーラシンは移籍後4試合に出場し1得点を挙げたが、2月25日から終了までの9試合は負傷によって出場できなかった。
それでもパトゥム・ユナイテッドは2位のブリーラム・ユナイテッドを大幅に突き離し(パトゥム勝点77、ブリーラム勝点63)リーグ優勝を果たすことに成功した。

アデミウソン(元ガンバ大阪)
中国2部で再スタート中
2016年から2020年にかけてガンバ大阪に貢献したブラジル人FWアデミウソン。
チームの中心選手として活躍していた中、2020年10月25日に大阪府茨木市内にて交通事故を起こし、酒気帯び運転、ひき逃げの報告義務違反の容疑で任意捜査を受ける。それに伴い12月28日にG大阪は契約解除を発表した。
その後Jリーグ復帰も噂されたアデミウソンだが、2021年1月に中国サッカー・甲級リーグ(中国2部)武漢三鎮と契約を交わす。現時点までに5試合にフル出場し、2得点を挙げている。
セランテス(元アビスパ福岡)
母国スペインでJ復帰を目指し中
2020シーズンにアビスパ福岡のJ1昇格に貢献した後、契約満了を告げられたスペイン人GKジョン・アンデル・セランテス。自身のTwitterで「私は日本が大好きです。まだ日本でプレーしたいです。どうか私の新しいクラブを探すのを手伝って下さい」と訴えた。
残念ながら獲得を検討したJリーグクラブは現れず。2021年2月1日に母国スペインのラ・リーガ2部(セグンダ・ディビシオン)のテネリフェに加入し、控えキーパーとなった。出場できたのはわずか1試合、5月19日に行われた第40節マヨルカ戦(0-1の敗北)である。
日本文化を愛して止まないセランテス。Jリーグ復帰を今なお望み続けている。手を上げるクラブは現れるだろうか?
アン・ヨンウ(元サガン鳥栖)
Kリーグ大邱でトップ追駆中
2017シーズン途中にサガン鳥栖に移籍し、2020シーズン終了まで同クラブで戦った韓国人MFアン・ヨンウは、2021年1月14日にKリーグ1の大邱FCへ移籍し、約4年ぶりに韓国サッカーへ復帰。
大邱FCでは左サイドハーフとして多くの試合に出場しているが、2021シーズン最初の3試合ではセンター・フォワードとしても起用された。現時点までで0ゴール1アシストという記録になっている。
大邱FC(勝点29)は8試合負けなしであり、現在はリーグ4位。この勢いで戦い続ければ、1位の蔚山現代(勝点33)を追い越す可能性も十分だ。
ムン・キョンゴン(元大分トリニータ)
Kリーグ大邱で奮闘中
アン・ヨンウと同様に2020シーズンを最後にJリーグを離れ、大邱FCに加入したもう1人の選手。2017年から2020年にかけて大分トリニータに所属した韓国人GKムン・キョンゴンである。
日本で過ごした4年間では19試合出場に留まったムン・キョンゴンだが、韓国でも控えキーパーとしての日々が続いている。
Kリーグ1第4節の済州ユナイテッド戦(1-1)、第5節の全北現代モータース戦(2-3)でピッチに立つも、2試合で4失点を喫してチームを勝利に導くことができなかった。

マテイ・ヨニッチ(元セレッソ大阪)
中国上海申花で活躍中
2017年から2020年にかけてセレッソ大阪で活躍したクロアチア人DFマテイ・ヨニッチ。2019シーズンはリーグ戦全試合に出場し、ディフェンスの要としてリーグトップのクリア回数(219)を記録するなど、チームのJリーグ最少失点に大きく貢献した。
そのヨニッチは、2021年1月21日に中国スーパーリーグ上海申花へ完全移籍を果たし、全ての公式戦にセンターバックとして出場している。
30歳という年齢を考え家族に相談した後に、自ら中国への移籍を決意したヨニッチ。Jリーグに復帰する可能性は極めて低いと思われる。
ルーカス・ミネイロ(元セレッソ大阪)
ポルトガルで複数クラブを魅了中
2020シーズン開始前に、カンピオナート・ブラジレイロ・セリエAのシャペコエンセからC大阪にレンタルで加入したブラジル人MFルーカス・ミネイロは、わずか半年ほどでポルトガル、プリメイラ・リーガのジル・ヴィセンテに移籍した。
ジル・ヴィセンでは、東京ヴェルディからレンタル移籍中のMF藤本寛也と共にに戦い、5月21日に終了した2020/21シーズン中は中盤の要としてほぼ全試合に出場した。
ジル・ヴィセンテはミネイロを完全に獲得したい模様。