明治安田生命J1リーグ2022シーズンは、未消化試合があるものの第23節までが終了した。5月終了時点で三つ巴(横浜F・マリノス、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ)だった首位争いだが、現在は横浜F・マリノスが一歩抜け出した。
一方で、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権(Jリーグ年間順位1位、2位。3位は予選プレーオフから。天皇杯優勝)獲得をめぐる争いが熾烈を極めつつある。また、11位から18位までが勝ち点6差と、残留争いも僅差で予断を許さない状況だ。
ここではJ1リーグに所属する全クラブを、7月の全日程終了時点の順位順で見てみよう。単純な順位や勝ち点だけではなく、5月終了時点以降の成績、期待や予算、昨2021シーズンの順位をふまえて「大変よくできました」「よくできました」「まずまずです」「今後に期待です」の4段階評価を加えている。
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1位:横浜F・マリノス
- 23試合14勝6分3敗
- 勝ち点48
- 評価「大変よくできました」
6月・7月の7試合は5勝2分。無敗で駆け抜け、三つ巴だった優勝争いから一歩抜け出すことに成功した横浜F・マリノス。得点数も得失点差も2位以下を大きく引き離し、第23節では鹿島アントラーズとの天王山に2-0の勝利。夏の移籍市場での補強はないが、2019年以来の優勝に向け隙は見当たらない。

2位:鹿島アントラーズ
- 23試合11勝7分5敗
- 勝ち点40
- 評価「よくできました」
6月・7月の7試合は2勝4分1敗。2位をキープしているものの勝ちきれない試合が増え、勝ち点のペースは鈍化した鹿島アントラーズ。首位を争っていた横浜FMに、勝ち点差8まで引き離されてしまった。夏の移籍市場でも、得点ランキングトップを走っていたFW上田綺世がサークル・ブルージュKSV(ベルギー)へ、MFファン・アラーノがガンバ大阪へ、それぞれ完全移籍となり、優勝のためには選手層の不安がある。

3位:柏レイソル
- 23試合12勝3分8敗
- 勝ち点39
- 評価「よくできました」
6月・7月の7試合は4勝3敗。その間3連敗と3連勝を経験している柏レイソル。夏の移籍市場では、2020年からレギュラーとしてプレーし今季も13試合に出場していたGKキム・スンギュが、アル・シャバブ・サウジ(サウジアラビア)へ完全移籍。それでもユース育ちのGK佐々木雅士が新守護神として出場機会をつかみ、現在3連勝中と結果につながっている。さらに連勝を伸ばせるだろうか。

4位:セレッソ大阪
- 23試合10勝8分5敗
- 勝ち点38
- 評価「大変よくできました」
6月・7月の7試合は3勝3分1敗。6月9日にキャプテンだったMF乾貴士との契約を解除したセレッソ大阪だが、ブレることなく順位を上げてきた。FWを中心にさまざまな選手を起用しながら、攻守にバランスの取れたチームが出来上がりつつある。優勝争いにひと波乱起こす可能性を持つといえるだろう。

5位:川崎フロンターレ
- 21試合11勝4分6敗
- 勝ち点37
- 評価「まずまずです」
6月・7月の5試合は2勝1分2敗。王者川崎フロンターレに、大きな危機が訪れている。首位争いにくらいついていたものの、新型コロナウイルスがチーム内に蔓延し7月25~29日にトップチームの10人が陽性判定を受けた。7月30日の浦和レッズ戦ではベンチ入り5人で、うちGK3人という緊急事態。1-3の敗戦を喫している。今後続々と復帰するとはいえ、コンディションに不安を抱えたまま終盤戦に挑むこととなる。

6位:サンフレッチェ広島
- 23試合9勝8分6敗
- 勝ち点35
- 評価「よくできました」
6月・7月の8試合は3勝2分3敗。日本代表としてE-1選手権に出場したMF森島司、MF野津田岳人らの好調ぶりは喜ばしいサンフレッチェ広島だが、最前線の選手の得点があまりに少ない。2位までの勝ち点差は5。その差を詰めるためには外国籍選手を中心としたFW陣の、ゴール前での働きを求めたい。

7位:FC東京
- 23試合10勝5分8敗
- 勝ち点35
- 評価「よくできました」
6月・7月の7試合は3勝1分3敗。守護神のDFエンリケ・トレヴィザンが左肩関節脱臼で離脱、今季20試合に出場していたFW永井謙佑が名古屋グランパスへ完全移籍したFC東京。一方で、MF塚川孝輝を川崎フロンターレから完全移籍で、FWルイス・フェリッピをスポルティングCP(ポルトガル)から期限付き移籍で獲得した。試合ごとの好不調の波を小さくできれば、再び上位に浮上できるだけの力はある。

8位:浦和レッズ
- 23試合7勝11分5敗
- 勝ち点32
- 評価「大変よくできました」
6月・7月の7試合は5勝2分。この2か月間で14位から8位まで順位を上げるなど、ついに結果が伴ってきた浦和レッズ。固定できていないFWに、フェイエノールト(オランダ)からブライアン・リンセンを獲得するも実戦初戦でまさかの負傷。大きな誤算はあったが、FW松尾佑介が2戦連発の結果を出している。

9位:サガン鳥栖
- 22試合6勝11分5敗
- 勝ち点29
- 評価「まずまずです」
6月・7月の6試合は1勝2分3敗。MF飯野七聖がヴィッセル神戸へ移籍したが、MF長沼洋一をサンフレッチェ広島から、MF手塚康平を横浜FCから完全移籍で獲得するなど的確な補強をみせたサガン鳥栖。1試合平均の走行距離でもスプリント回数でもリーグトップを誇るチームであり、厳しい夏を乗り越える準備を整えつつある。

10位:アビスパ福岡
- 23試合6勝9分8敗
- 勝ち点27
- 評価「まずまずです」
6月・7月の7試合は2勝2分3敗。4月・5月の2か月間と同じく白星より黒星が1つ多い状況ではあるが、ノルマである残留のためには十分なペースで勝ち点を稼いでいるアビスパ福岡。夏の移籍市場ではFWジョン・マリ、MF平塚悠知を獲得し補強を進めた。選手やスタッフに新型コロナウイルスの感染者が複数出ている影響は否めないが、大きな連敗さえしなければ来季もJ1で戦えるはずだ。

11位:京都サンガ
- 23試合6勝8分9敗
- 勝ち点26
- 評価「まずまずです」
6月・7月の7試合は1勝3分3敗。エース、FWピーター・ウタカが得点を取れなくなったと同時に成績も降下した京都サンガ。それでも粘り強く勝ち点を得ており、さらに即戦力としてMFアラン・カリウス(アル・アダラー/サウジアラビア)の加入内定を発表している。昇格組の最大の目標である「残留」を果たす可能性は高い。

12位:名古屋グランパス
- 22試合6勝8分8敗
- 勝ち点26
- 評価「まずまずです」
6月・7月の6試合は1勝3分2敗。リーグワースト2位タイの18得点と、得点力不足は深刻な名古屋グランパス。打破するためにFW永井謙佑をFC東京から完全移籍で獲得したが、抜群のスピードを持つ反面今季は20試合で無得点と、個としての得点力には不安が残る。絶対的な軸であるMFマテウス・カストロのマークを分散させつつ、周囲との連携でチーム全体の得点数を増やせるか。

13位:湘南ベルマーレ
- 23試合6勝7分10敗
- 勝ち点25
- 評価「大変よくできました」
6月・7月の7試合は3勝3分1敗。5月末の時点では17位と降格圏に位置していたが、順位を上げることに成功した湘南ベルマーレ。攻守両面に要因があるが、特に7試合でわずか2失点と守備の安定は目覚ましい。この夏にサガン鳥栖から完全移籍で獲得したMF中野嘉大、名古屋グランパスから期限付き移籍で獲得したMF阿部浩之がすでに出場機会を得ており、終盤戦に勢いをもたらす可能性を秘める。

14位:北海道コンサドーレ札幌
- 23試合5勝10分8敗
- 勝ち点25
- 評価「今後に期待です」
6月・7月の7試合は1勝2分4敗。5月終了時点では五分の成績だったが、負けが増えるとともに順位を下げている北海道コンサドーレ札幌。大きな問題がリーグ最多失点の守備面だ。得失点差でもリーグワーストであり、今後の成績次第では降格圏もちらつくことに。後半アディショナルタイムに追い付いた第23節の名古屋グランパス戦のように、後手を踏んだとしても諦めない姿勢を貫きたい。

15位:ガンバ大阪
- 23試合5勝7分11敗
- 勝ち点22
- 評価「今後に期待です」
6月・7月の8試合は1勝2分5敗。7月の5試合では2分3敗と、現在もっとも苦しんでいるクラブと思われるガンバ大阪。夏の移籍市場ではFW鈴木武蔵をKベールスホットVA(ベルギー)から、FW食野亮太郎をマンチェスター・シティ(イングランド)から、MF山本理仁を東京ヴェルディから、MFファン・アラーノを鹿島アントラーズから、いずれも完全移籍で獲得という大きな動きをみせている。なかでも食野は第23節の京都サンガ戦でシュート6本を放ち1得点。チーム随一の積極性で雰囲気を変えてくれることに期待したい。

16位:ジュビロ磐田
- 23試合5勝7分11敗
- 勝ち点22
- 評価「今後に期待です」
6月・7月の7試合は2勝1分4敗。7月に4連敗を喫したジュビロ磐田だが、第23節の湘南ベルマーレ戦で自信を取り戻すうえで重要な勝利を挙げた。ホームでは特に気持ちの入った試合ができており、夏にシント=トロイデン(ベルギー)から獲得したDF松原后を含め、総力戦で残留を手繰り寄せたい。

17位:ヴィッセル神戸
- 23試合5勝6分12敗
- 勝ち点21
- 評価「まずまずです」
6月・7月の7試合は3勝1分3敗。6月末にミゲル・アンヘル・ロティーナ監督との契約解除を発表し、これで3度目の緊急登板となる吉田孝行監督体制に移行したヴィッセル神戸。MF飯野七聖をサガン鳥栖から、MF小林祐希を江原FC(韓国)から、DFマテウス・トゥーレルをCRフラメンゴ(ブラジル)から獲得し、なりふり構わず残留を目指している。

18位:清水エスパルス
- 23試合4勝9分10敗
- 勝ち点21
- 評価「今後に期待です」
6月・7月の7試合は2勝2分3敗。直近の成績はまずまずながらも、最下位に転落した清水エスパルス。この夏に獲得したFW北川航也、MFヤーゴ・ピカチュウ、MF乾貴士はいずれも貴重な戦力となりそうだが、北海道コンサドーレ札幌に次ぐ失点の多さへの手当てはされていない。得点数で失点の多さをカバーできるかが、明暗を分けそうだ。