日本では各リーグ戦も佳境に入ってきている中、5月21日の開幕から戦いが繰り広げられてきた天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権大会のベスト4が出そろった。その名の通りに、サッカー日本一を決めるカップ戦の1つである。
9月7日に行われた準々決勝で勝利しベスト4に残ったチームは、クラブ史上初のベスト4入りを果たしたヴァンフォーレ甲府。常勝軍団復活に向けタイトル獲得を狙う鹿島アントラーズ。亡き名誉会長稲盛和夫氏のためにタイトルを狙う京都サンガ。夢の3冠獲得(J1リーグ、ルヴァン杯、天皇杯)を狙うサンフレッチェ広島だ。
10月5日に予定されている準決勝で、甲府と鹿島(カシマスタジアム)京都と広島(サンガスタジアム)がそれぞれ対戦し、勝利チームが10月16日の決勝戦に挑む。カップ戦はリーグ戦と異なり、1発勝負だ。そこでいかに爆発力を持ってこられるかが鍵となる。ここではベスト4各チームの状況と優勝予想をしていこう。

J2から唯一のベスト4入り:ヴァンフォーレ甲府
天皇杯優勝可能性:△
J1の北海道コンサドーレ札幌、サガン鳥栖、アビスパ福岡を破り、クラブ初のベスト4入りを果たしたJ2ヴァンフォーレ甲府。直近のリーグ戦では5試合勝利無しとJ2で13位に沈んでおり、天皇杯でここまで勝ち上がったのが不思議に思えるくらいだというのが正直な感想である。
しかし、そのようなチームこそ、カップ戦には勝利する可能性が高い。準々決勝の福岡戦は、アウェイにも関わらず延長戦(2-1)で勝利を掴んだ。

常勝軍団復活へ残されたチャンス:鹿島アントラーズ
天皇杯優勝可能性:○
J1リーグでは勝ち切れないゲームが続いているが、天皇杯ではしっかりと勝ち上がってくるあたりはさすがの鹿島アントラーズである。ここ3年タイトルから遠ざかっている鹿島は、2016年以来の天皇杯優勝を狙う。
なんといっても準決勝をホームである茨城カシマスタジアムで行える点が、鹿島のアドバンテージとなる。直前のリーグ戦もホーム開催であり、移動の負担が無いのも大きな点だ。J1タイトル獲得が難しい状況のなか、残されたこの天皇杯を獲りに行く気持ちはチームとして強いはずである。

名誉会長のためにタイトルを:京都サンガ
天皇杯優勝可能性:△
去る8月24日にクラブ名誉会長である稲盛和夫氏が他界した京都サンガ。ゲーム以外の出来事でチームがまとまることは、よくあることである。準決勝の相手となるサンフレッチェ広島には、今シーズンのJ1リーグでは1分け1敗と勝利こそない。しかしホームでは引き分けを見せる粘り強さを見せており、その時にはいなかったアラン・カリウス、パウリーニョ・ボイアの2名が強烈なエッセンスとなることは間違いない。
広島を倒せば天皇杯優勝は見えてくるだろう。直近のJ1第29節鹿島戦(1-1)においては、最後同点に追いつかれはしたがゲーム運び自体は悪くなく、下剋上を起こす可能性を感じさせるチームになりつつある。

3冠獲得へ盤石か:サンフレッチェ広島
天皇杯優勝可能性:◎
そして最も期待を寄せられるのがサンフレッチェ広島だ。J1リーグで最少失点数を誇るチームが、天皇杯のタイトルを獲るか。
天皇杯準々決勝のセレッソ大阪戦では、後半ギリギリでの逆転劇(2-1)を見せた。しかもアウェイの地で。アウェイでも勝ち切る強さを見せることで、タイトルが獲れるチームであることを証明した。2022シーズン開幕当初は、ドイツ人指揮官(ミヒャエル・スキッベ監督)の戦術がチームにフィットするか懐疑的であった人も多いはず。しかし、その選択が正しかったことを証明する時がきた。
天皇杯決勝は10月16日
決勝の10月16日は、リーグ戦も佳境を迎えている時期である。選手には疲労が重なり、リーグ順位へ向けたプレッシャーがピークとなる。これを乗り切って、天皇杯のカップを掲げるチームはどこになるのか。リーグ戦と並行して注目していきたいゲームがまだまだ続く。