10月18日、元日本代表MF中村俊輔(44歳)の2022シーズン限りでの引退が、所属クラブの横浜FCより発表された。日本代表では長く背番号「10」を背負い、Jリーグではもちろん海外でも高い評価を集めた中村。
中村は、1997年に桐光学園高等学校から横浜マリノス(現:横浜F・マリノス)へ加入。国内外合わせて6つのクラブを渡り歩き、昨2021シーズンまでに出場した試合は742試合を記録している。特にフリーキックの技術や精度は世界的にも評価が高く、いくつものスーパーゴールを各国を代表する守護神から奪ってきた。
そんな中村の引退は残念だが、一方で中村と同世代ながらまだまだ現役でJリーグを湧かせてくれるだろうと期待感のある選手は多い。ここではそんな40代の大ベテランながら、Jリーグで活躍を続ける選手たちを5人紹介していく。

遠藤保仁(ジュビロ磐田)
中村俊輔と並び、日本を代表するフリーキックの名手として知られる元日本代表MF遠藤保仁。年齢は42歳と中村よりも下だが、同時期に代表で活躍し直接フリーキックの場面では2人並んでボール前に立つ姿を何度も見せている。また遠藤が現在所属するジュビロ磐田(2020-)には、中村が在籍(2017-2019)していたこともあり、ここでも比べられる存在であった。フル出場は少なくなったもののスタメンでの起用は多く、未だに能力の高さに疑いの余地はない。
昨2021シーズンは持ち前のパスセンスでジュビロ磐田のJ1昇格に貢献した遠藤。しかし、今季クラブはこの終盤にきて残留争いを余儀なくされている。残り2試合となった2022シーズンのJ1リーグ。

小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)
日本が世界に誇る「天才」元日本代表MF小野伸二も、現在43歳と大ベテランの域に達した。18歳で代表デビューを果たし、1998年フランスW杯では最年少出場。以降3大会連続W杯メンバーに選出されてきた小野は、中田英寿や中村俊輔と同様、海外でも評価が高い日本人選手だ。
一方で、若いころより怪我に悩まされた選手としても知られ、怪我がなければどれほどの選手になっていたかとしばしば残念がられることもある。Jリーグでもプロデビュー時に所属していた浦和レッズ(1998-2001、2006-2007)をはじめ、ここまで4クラブを渡り歩き見るものを魅了するプレーは今でも健在。現在所属する北海道コンサドーレ札幌(2021-)とは生涯契約を結んでいることが報じられており、引退後のキャリアについても注目が集まる。
小野の引退時には多くのサッカーファンが寂しさを感じることは間違いないが、今後のキャリアにおいて、プロ選手に限らず様々な世代の選手と関わることが予想される。小野の常にサッカーを楽しむ姿勢は必ずや関わった選手たちの成長につながるだろう。まだまだ引退時期について明言はしていないが、去就が注目される選手の筆頭候補ではないだろうか。

山本英臣(ヴァンフォーレ甲府)
ヴァンフォーレ甲府では在籍20年を迎え「ミスター甲府」とも称されるDF山本英臣。センターバックやボランチといった守備的なポジションを主戦場とし、過去には長くキャプテン務めるなど甲府を支えてきたバンディエラだ。
42歳という年齢もあってか、今季はリーグ戦14試合の出場にとどまっている山本。しかし、J2優勝(2012)J1残留(2013-2017)J2降格(2018-)とクラブと苦楽を共にし、2022年はついに甲府に天皇杯のタイトルをもたらした。
今季J2リーグでは残念ながら18位と低迷した甲府。ここ数年は毎年順位を上げてきており昨2021年は3位と昇格に迫っただけに、天皇杯のタイトルも素直に喜べない事情もある。しかし、だからこそクラブの浮き沈みを間近で見てきた山本には、より一層のリーダーシップで次シーズン以降の奮起に期待したい。

山瀬功治(レノファ山口)
デビューから国内のみで、実に8つ(札幌、浦和、横浜FM、川崎、京都、愛媛FC、山口)ものクラブを渡り歩いてきた元日本代表MF山瀬功治。
2022シーズンからJ2のレノファ山口に活躍の舞台を移す。41歳となった今でもプレーの精度は高く、今季はここまで2得点を記録。Jリーグでの23年連続得点という偉業を成し遂げた。年齢による体力面を考慮されてか、近年は年々出場時間は短くなっている。しかし、限られた時間の中でも得点やアシストという数字に残る仕事をしていることからも高いスキルが窺い知れる。
かつてはその高い能力で、代表でも背番号「10」をつけた山瀬。

南雄太(大宮アルディージャ)
若くして頭角を現し、世代別代表でも活躍を見せ将来を嘱望されていた元日本代表GK南雄太も、43歳となった。国内4つのクラブ(柏、熊本、横浜FC、大宮)を渡り歩いているが、GKという1名しか試合に出られないポジションながら、今なお多くの出場機会を得ていることからもレベルの高さが窺える。
南が昨2021シーズンに加入した大宮アルディージャは今季J2で19位と大苦戦。2017年以来となるJ1昇格を目指した中、プレーオフ圏からも大きく離れた位置でのフィニッシュとなった。昨シーズンから大きく選手を入れ替えて戦った今季の大宮。シーズン序盤は実に10節まで勝利がないなどチーム作りに苦戦していた。特にDF馬渡和彰(浦和レッズ)やDF河面旺成(名古屋グランパス)ら主力守備陣の流出が、やはり大きな影響を及ぼしていたと言えるだろう。
南にとっても不本意な順位で終わる2022シーズン。再びJ1昇格を目指す中で、精神的支柱としてまた守備の要としての去就に注目したい。