明治安田生命J1リーグの2023シーズンは、2月11日の横浜F・マリノス対ヴァンフォーレ甲府の「FUJIFILM SUPER CUP2023」によって幕を開ける(リーグ開幕戦は2月17日川崎フロンターレ対横浜F・マリノス)。各クラブが始動し、開幕に向けて日々トレーニングを積んでいる。
ここでは、J1リーグに所属する全18クラブの補強診断を紹介しよう(1月20日時点)。移籍市場での戦力収支をA(大きくプラス)~E(大きくマイナス)の5段階で表し順位を付け、3クラブずつまとめていく。順位予想ではなく、昨2022シーズンのクラブ状況と比較した単純な戦力収支評価ランキングとなっている。
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15位:サンフレッチェ広島
戦力収支評価:D
主なOUT選手
主なIN選手
2022シーズンからサンフレッチェ広島の新指揮官に就任したミヒャエル・スキッベ監督は、新型コロナウイルスの影響で来日が遅れた。しかし、着実にハイプレスからのショートカウンターを浸透させ、最終的には3位。さらにルヴァン杯ではタイトルを獲得し、予算規模の大きなクラブではないことを考えると満足なシーズンとなったことだろう。
移籍市場では例年どおりに、即戦力よりも将来有望な若手、加えて強豪の一角を占めるユースから獲得。1つだけ違うのは、アビスパ福岡から獲得したDF志知孝明だろう。対人守備に優れ突破されることが非常に少ない即戦力の左サイドバック(SB)を、スキッベ監督は左ウイングバック(WB)で起用する予定だろう。ツエーゲン金沢でレギュラーを務め8得点を挙げたMF松本大弥、愛媛FCでレギュラーだったMF小原基樹といずれも左サイドが主戦場で、サイドの競争激化は確実だ。

14位:柏レイソル
戦力収支評価:D
主なOUT選手
- DF高橋祐治(清水エスパルス:完全移籍)
- MFドッジ(サントスFC:完全移籍)
- DF上島拓巳(横浜F・マリノス:完全移籍)
- FW森海渡(徳島ヴォルティス:期限付き移籍)
- DF大南拓磨(川崎フロンターレ:完全移籍)
- MF大谷秀和(引退)
- DF染谷悠太(引退)
主なIN選手
- MF仙頭啓矢(名古屋グランパス:完全移籍)
- DFジエゴ(サガン鳥栖:完全移籍)
- DF片山瑛一(清水エスパルス:完全移籍)
- DF立田悠悟(清水エスパルス:完全移籍)
- MF山田康太(モンテディオ山形:完全移籍)
- MF高嶺朋樹(北海道コンサドーレ札幌:完全移籍)
2022シーズン開幕前の評判は芳しくなかったものの、蓋を開けてみれば7位で終えた柏レイソル。ただ、オフシーズンに入ると、想像をはるかに上回る激動を迎えた。
3バックを形成していたうちのDF高橋祐治とDF上島拓巳、右ウイングバック(WB)とセンターバック(CB)を兼務したDF大南拓磨がチームを離れ、DF陣はほぼ解体。CBに攻撃能力も求めるサガン鳥栖の左CBだったDFジエゴ、高さと強さを持つ清水エスパルスのDF立田悠悟らを獲得し素早く手当てしてみせたが、昨シーズンの44失点以下に抑えるのは容易ではないだろう。
攻撃陣での注目株は、モンテディオ山形の背番号10だったMF山田康太。ひらめきを実行に移せる技術の高さで、アクセントを加える可能性は十分だ。

13位:サガン鳥栖
戦力収支評価:D
主なOUT選手
- DFパク・ゴヌ(浦項スティーラーズ:復帰)
- FW垣田裕暉(鹿島アントラーズ:復帰)
- FW宮代大聖(川崎フロンターレ:復帰)
- FW荒木駿太(FC町田ゼルビア:期限付き移籍)
- DFジエゴ(柏レイソル:完全移籍)
- MF小泉慶(FC東京:完全移籍)
- MF福井太智(FCバイエルン・ミュンヘン:完全移籍)
主なIN選手
- FW横山歩夢(松本山雅FC:完全移籍)
- FW岩崎悠人(北海道コンサドーレ札幌:完全移籍)
- DF山﨑浩介(モンテディオ山形:完全移籍)
- MF河原創(ロアッソ熊本:完全移籍)
- FW富樫敬真(ベガルタ仙台:完全移籍)
- GK内山圭(藤枝MYFC:完全移籍)
依然として債務超過にあり財政再建が最優先のサガン鳥栖。2022シーズンは開幕前の予想を大きく上回り11位に入ったものの、2023シーズンに向けても主力の多くが流出することとなった。特に、FW、MF、DFそれぞれの軸が抜けたことは気がかりだ。
昨季得点を重ねたFW宮代大聖(8得点)とFW垣田裕暉(6得点)は所属元クラブへ復帰。新たな得点源候補として、昨季J2ベガルタ仙台で11得点を挙げたFW富樫敬真、J3松本山雅で同じく11得点を挙げたFW横山歩夢を獲得した。
昨季中盤を支えたMF小泉慶は、FC東京へと移籍。苦境を予感させたが、ロアッソ熊本でJ2MVP級の活躍をみせたMF河原創の釣り上げに成功。初のJ1挑戦とはなるが、ビルドアップに関してはむしろプラスとなるかもしれない。
また、3バック時の左CBや4バックのCBとして不可欠な存在となっていたDFジエゴは、柏レイソルへ移籍。モンテディオ山形でJ2屈指のCBへと成長したDF山﨑浩介を獲得したが、初のJ1となるため強度や判断スピードへの適応が求められる。
個々はわずかなスケールダウンに感じるが、J1でも通用しうる選手を数多く獲得してみせた。引き続き指揮を執る川井健太監督の、個々の能力を引き出す才能に期待がかかる。