J1、J2の開幕で盛り上がりを見せる2023シーズンの明治安田生命Jリーグ。3月4日にはJ3リーグも新たに奈良クラブとFC大阪の2クラブを加え、いよいよ開幕を迎える。

J3と言えば、昨2022シーズンまでは過去に日本代表経験もあるベテラン選手たちが数多く在籍していた。その多くは引退を決めチームを去っていて、経験豊富な選手たちの雄姿が見られなくなることは寂しい。しかし一方で、今2023シーズン前には、J1やJ2のクラブから若く伸びしろたっぷりな若手選手が期限付き移籍で多く加入している。ここでは、そんなJ3へ武者修行に出た注目の選手たちを4人ご紹介していく。

【2023】J1からJ3へ期限付き移籍した注目選手4選

大嶽拓馬(愛媛FC

所属元:柏レイソル(2021-)

所属元の柏レイソルでは、なかなかリーグ戦で出番を得られずにいたDF大嶽拓馬。今季新たに愛媛FCへ期限付き移籍を果たし、リーグ戦デビューを狙う。ルヴァンカップにはすでに出場を果たしており、フィジカルの強さや足元の技術はJ1クラブ相手でも十分に通用するレベルであることは証明済みだ。

特徴は何といっても利き足である左足でのキック精度。その正確なフィードで自陣から一気にチャンスメイクが可能だ。ビルドアップにも長けていることから、攻撃の起点としての活躍が期待できる。愛媛は今冬、DFラインとの駆け引き上手なFW深堀隼平や、長身を武器に最前線でも活躍できるMF菊池俊介といった選手の獲得にも成功。大嶽の正確なキックを生かせる選手が新加入を含め多くいることも、結果を出すための好材料と言えるだろう。

一方で補強の影響もあり、愛媛のDFラインはポジション争いの激化が予想される陣容となっている。

しかし、大嶽にはキック精度やフィジカルの強さといった持ち前の武器で定位置を掴み、この期限付き移籍を飛躍のきっかけにしてもらいたいものだ。

【2023】J1からJ3へ期限付き移籍した注目選手4選

滝裕太(松本山雅)

所属元:清水エスパルス(2018-)

クラブ史上2度目のJ2降格を味わい、2023シーズンはJ2を舞台にする清水エスパルス。その清水から今冬、松本山雅への期限付き移籍に出たのがMF滝裕太だ。昨年清水では、平岡宏章監督が指揮を執った5月までは出番があったものの、以降リーグ戦でほとんど出場機会を得られずシーズンを終えている。

清水の今季の陣容を見ると、J2へ降格したとはいえ、攻撃陣については特に豪華な顔ぶれとなっている。そんな清水でのポジション争いの熾烈さを考えれば、期限付き移籍は滝自身にとって大きなチャンスと言えよう。

2020年にカターレ富山でJ3は経験している滝だが、決して成果を上げたとは言えなかった。しかし、短い出場時間でも決定的な仕事ができることは、清水での過去の実績で証明済み。今回の松本への移籍で出場時間が増えれば、間違いなく結果を残せるだけのポテンシャルは持っているはずだ。この移籍期間を終えるころ、どんな成長を遂げているのか。注目したい選手の1人だ。

【2023】J1からJ3へ期限付き移籍した注目選手4選

木原励(長野パルセイロ)

所属元:浦和レッズ(2022-)

昨2022シーズン、高卒ルーキーとして浦和レッズに加入したFW木原励。残念ながらリーグ戦では出番をもらえなかったが、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)ではグループリーグの山東泰山(中国)戦に途中出場し大舞台を経験。今冬期限付き移籍で長野パルセイロへの加入が発表された。

心機一転、今季こそリーグ戦でのデビューを狙っていることだろう。

しかし、木原の挑戦は必ずしも簡単なものにはならないだろう。今冬多くの選手の入れ替えがあった長野だが、昨季チームトップスコアラーのFW山本大貴はチームに残り、新戦力では昨年愛媛で活躍したFW進昂平も加入。定位置確保は簡単ではないと思われる。

一方で、山本、進ともにDFラインとの駆け引きや動き出しに優れたプレイヤーであることも事実。同じく裏への抜け出しも武器としている木原にとっては、最良の学びの場とも考えられる。木原の持つポテンシャルを考えれば、彼らから多くを吸収することで一気に覚醒する可能性もある。

【2023】J1からJ3へ期限付き移籍した注目選手4選

南野遥海(テゲバジャーロ宮崎)

所属元:ガンバ大阪(2022-)

昨2022シーズン、ガンバ大阪でJリーグデビューを飾ったFW南野遥海。J1の舞台で4試合に出場したが、出場時間は合計でやっと1試合分ほど。目立った数字を残すことはできずに終わっていた。決して大柄なFWではないが、スピードやテクニックに優れシュート精度も高いものを持っている。今冬期限付きでJ3のテゲバジャーロ宮崎への移籍となった。

宮崎は2023シーズンに向け、昨季ガンバ大阪をJ1残留に導いた松田浩監督を招聘。南野にとっては勝手知った監督なだけに、チームが変わってもプレーしやすい環境に身を置けることは好材料だ。加えて宮崎は、今冬の移籍市場でMF岡田優希やMF徳永裕大といった攻撃陣の主力を失っている。これにより前線のポジション争いが仕切り直しとなっていることも、大きなチャンスと言えるだろう。

ガンバ大阪の次世代の担い手候補として、J3で進化を遂げることができるかに注目だ。

編集部おすすめ