U-20日本代表のアジアカップ(3月1日~18日)、U-22日本代表の欧州遠征(3月24日、27日)の活躍から、次世代を担う選手たちに注目が集まっている。A代表とは異なり、この世代別代表にはJ2リーグからも選手が選ばれ、今後J2の注目度や盛り上がりにも期待ができると言えよう。
しかしJ2で躍動する若手選手は、世代別代表に選ばれている選手だけではない。ここでは、3月の世代別代表には招集されていないものの、J2で躍動するパリ五輪世代以下(パリ五輪の時点で23歳以下)の若い選手たちを、活躍度合いからランキング形式で紹介していく。

5位:西川幸之介(大分トリニータ)
昨2022年ルヴァン杯では出番を得るも、リーグ戦での出場機会には恵まれなかった大分トリニータのGK西川幸之介(20歳)。今2023シーズンはここまで全試合スタメン出場を果たし、新守護神として存在感を示している。2021年から所属する大分には、J1、J2それぞれで豊富な経験値を誇るGK高木駿も在籍。そんな高木からポジションを奪取していることからも、西川の成長をは十分にうかがい知ることができる。
足元の技術に優れ、相手のハイプレスに対しても冷静な判断でつなぐことができるのが大きな魅力。守備範囲も広く、DFラインの裏をきっちりカバーするシーンも見られる。大分では昨季、西川と同世代のMF弓場将輝(20歳)が定位置を掴み、今シーズンも中心選手として活躍中。今季は西川が自分の年とすることができるのか、大分の若き守護神に注目だ。

4位:柴山昌也(大宮アルディージャ)
直近3シーズンは低迷が続く大宮アルディージャ。特に昨2022シーズンは1歩間違えればJ3降格の可能性まであっただけに(結果5位)、復権に向け勝負の2023シーズンだ。中でもクラブ関係者やファン、サポーターから大きな期待を寄せられている選手が、ユース出身で3年目を迎えているMF柴山昌也(20歳)。昨季はチームが低迷する中でも3得点8アシストと飛躍の1年となり、今季も変わらず左右両サイドで出場機会を確保している。
柴山の魅力はなんといってもその突破力。サイドを深くまで抉れる力は、相手DFにとって大きな脅威となり、そこから放たれるシュートもパンチ力抜群だ。今季の大宮は、ここまで4勝4敗と昨年と比較すればまずまずのスタートを切ったと言えよう。しかし、求められているのは当然J1への復帰。そのためにも、生え抜きである柴山には昨年以上の成長と成果が求められる。

3位:櫻川ソロモン(ファジアーノ岡山)
2023シーズン、ジェフユナイテッド市原・千葉より期限付き移籍でファジアーノ岡山にやってきたFW櫻川ソロモン(21歳)。開幕戦でいきなりゴールを挙げるなど、早くも存在感を存分に発揮している。190cm、94kgという恵まれた体格で、どの試合においても雰囲気、存在感ともに相手DFからすれば脅威となっていることだろう。
前線の起点として、またセットプレーのターゲットとしても極めて優秀。特にポストプレーは、自身のサイズを生かすだけでなく足元も柔軟で高いキープ力を誇る。岡山は昨季過去最高の3位でシーズンを終えたが、昇格にはあと1歩届かなかった。上位2クラブに及ばなかった得点数増加のためにも、櫻川にかかる期待は大きなものとなる。パリ五輪世代の候補選手としてはもちろん、次世代のA代表の柱にもなり得る大きな才能。

2位:松本凪生(ヴァンフォーレ甲府)
昨2022シーズンはリーグ戦こそ低迷(18位)したものの、天皇杯を制したヴァンフォーレ甲府。そのタイトル獲得にも貢献し、2023シーズンもまさにチームの心臓部として活躍しているのがMF松本凪生(21歳)だ。今季の甲府は、開幕から3試合勝てないゲームが続いたものの、以降は4勝1敗と好成績で上昇気流に乗っている。
その中で松本は、中盤ではボール保持者に対して厳しいチェックで簡単に突破を許さず、また前に出ては高いシュートの意識で積極的にゴールを狙う姿勢が随所に見られる。第6節の水戸ホーリーホック戦(3月26日4-2)では、強烈なミドルシュートで得点も奪っており、攻守における存在感は試合を消化するごとに増している印象だ。降格から6シーズン目の甲府。悲願のJ1復帰に向け、若くしてチームの中軸を担う松本にかかる期待もまた、日増しに高まっていくことだろう。

1位:後藤啓介(ジュビロ磐田)
今2023年は選手加入を巡る違反行為によって「新規選手登録」を禁じらたジュビロ磐田。その中、内部昇格による新加入で大きな期待を背負っているのがFW後藤啓介(17歳)だ。ここまでの5試合スタメンでの出場機会は3度に留まるも、途中出場も含めれば全試合に絡んでいる。開幕戦では途中出場から2ゴールを奪ってゴール前で怖さを出し(対ファジアーノ岡山2-3)、第5節の静岡ダービー(対清水エスパルス2-2)では開始直後に電光石火の先制点で伝統の一戦の口火を切る活躍を見せている。
191cmの高さに加え、運動量、スピードともにすでにプロの世界で十分に通用するレベルに達している後藤は、末恐ろしい存在と言えよう。