3月に行われた日本代表の親善試合、キリンチャレンジカップ2023(3月24日対ウルグアイ、28日対コロンビア)では、招集メンバーにU‐23日本代表からの選出が多くあった。今後も若い選手たちのA代表(年齢の制限ないベストメンバーによる代表チーム)入りが盛んになると思われる。
ここでは、そこで初招集された選手を含め、今後A代表入りが期待される注目の若手DF(ディフェンダー)選手に注目してみよう。J1リーグで活躍する若手DFから4名を選出した。

半田陸(ガンバ大阪)
内田篤人の再来
各年代別日本代表に呼ばれ続けたDF半田陸(21歳、ガンバ大阪)が、ついに3月のキリンチャレンジカップ2023でA代表へ招集された。残念ながら出場機会に恵まれずデビューはお預けとなったが、今後日本代表の右サイドバックを務めるのは間違いなくこの男になる。
攻撃力に注目されがちな選手だが、特筆すべきは守備能力の高さだ。ポイントは、ポジション取りの良さと縦突破に対する強さである。ポジションの良さはセンターバックへのカバーでその能力を発揮。相手攻撃選手の縦突破に対する強さは、体を当てるタイミングの上手さと足を伸ばしてボールを取りきる技術に現れている。
もちろん攻撃能力も高い。特に内側を追い越していくインナーラップの動きが良く、相手にとっては捕えにくいランをするのが特徴である。そんな半田のプレーは多くの点である選手と重なる。それはシャルケ04(ドイツ)や鹿島アントラーズで活躍したDF内田篤人(2020年引退)だ。今後のサムライブル―で、偉大な先輩を上回る活躍を期待している。

藤井陽也(名古屋グランパス)
名古屋の壁から日本の壁へ
昨2022シーズンから名古屋グランパスの守備の要へと成長を果たしたDF藤井陽也。22歳ながらキリンチャレンジカップ2023でA代表に招集された。藤井の特徴は何と言っても「正対した相手に対する強さ」である。クロスへの対応、ドリブルで侵入してきた選手や走り込んできた選手への対応。前に来た選手を無効化する能力は突出している。
この守備力に加え、今2023シーズンに目立つプレーはボール保持時の持ち出しだ。藤井自身でボールを前へ運び、相手フォワードを1枚はがすプレーを選択することが多い。このようなプレーが増えることで、攻撃の組み立てがしやすくなり、世界基準に近いセンターバックとして成長することが期待される。
長年バルセロナ(スペイン)で活躍したDFジェラール・ピケ(2022年引退)を彷彿とさせるプレーが魅力。今後も期待である。

馬場晴也(北海道コンサドーレ札幌)
美しきファイター
その風貌からは想像ができないような落ち着いたビルドアップを魅せる、北海道コンサドーレ札幌のDF馬場晴也(21歳)。各年代別日本代表にも召集され、2024年のパリ五輪でも活躍が期待される。今2023シーズンからプレーのステージをJ1リーグとステップアップさせた馬場。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督率いる札幌で更なるレベルアップを図る。
元々、ビルドアップの能力とシュートブロックが得意な選手。札幌では得意のビルドアップにさらに磨きをかけつつ、ポリバレント性の習得に取り組んでいる。ポジションチェンジを流動的にするスタイルを目指す札幌で適合できれば、馬場の良さが更に引き立つはずである。
パリ五輪世代の同期である前述のDF半田や、DFバングーナガンデ佳史扶(FC東京)が、キリンチャレンジカップ2023でA代表入りを果たした。その点では先を越されたが、馬場が彼らとA代表でプレーする日は近いはずだ。

畑大雅(湘南ベルマーレ)
戦慄のフィジカル
千葉県船橋市の名門、市立船橋高校時代から注目を集めていたDF畑大雅(21歳)。各年代別日本代表に選出され、高校卒業後の2020年より湘南ベルマーレへ加入。ルーキーイヤーからリーグ戦15試合に出場し、以降コンスタントに出場を続けている。
畑のプレースタイルの特徴は、何といっても縦方向へのスピードとスタミナ。中学時代まではFWでプレーしていたが、高校時代にサイドバックへコンバート。前を向いたプレー回数が増えたことで、自身の特徴がより活きるスタイルを獲得した。
身長は175㎝とそこまで大きい方ではないが、フィジカルの強さもプロ入り後磨きをかけた部分である。
U‐23日本代表では、左サイドバックを畑、右サイドバックを半田が務め、タイプが異なる左右サイドバックが様々な攻撃を演出した。そんな半田は一足先にA代表入り。2人が再びA代表で共演する日もそう遠くないはずである。