2023明治安田生命J1リーグ第8節の各試合が、4月15日に開催された。今節の結果により、ヴィッセル神戸が勝ち点19で首位をキープ。
ここでは、好調のヴィッセル神戸に着目したい。J1第8節では鹿島アントラーズと対戦し5-1の大量得点で勝利。試合ハイライトと共に勝因ポイントを解析していこう。

神戸VS鹿島:試合ハイライト
鹿島のホーム(茨城県立カシマサッカースタジアム)で行われたJ1第8節神戸VS鹿島の試合。先制は前半24分、神戸だった。DF初瀬亮のコーナーキックをFW大迫勇也が頭でねじ込みゴール。そのまま縦への展開スピードを速くし追加点を狙う。一方の鹿島もシンプルに縦へボールを入れる戦術でゴールを狙った。
前半アディショナルタイムに神戸が追加点。大迫がボールを引き出し、左サイドで待つMF齋藤未月へ。切り返した齋藤のクロスに対し、ゴール前で待っていたのはFW武藤嘉紀だ。
ハーフタイムを経ても勢いは神戸のまま。後半開始直後、大迫を起点とした左サイドからの攻撃がMF樋口雄太のハンドを誘う。これがPKとなり、大迫が決め切った。神戸が3点のリードとなる。
打開策を見出せない鹿島は後半9分、DF昌子源とMF藤井智也を投入し、システムを[3-4-2-1]へ変更。すると後半16分、鹿島の得点が生まれる。左サイドでボールを持ったDF安西幸輝から前線へ走りこんだMF荒木遼太郎へ。荒木からMF知念慶へ。知念のクロスを一度はGK前川黛也がはじくも、こぼれ球を藤井が回収。
鹿島の反撃が始まる予感をさせたが、それを許さなかった神戸。後半27分、大迫と交代で投入されたFW佐々木大樹が、ロングボール1本で左サイドのウラを取った武藤からのクロスに頭で合わせ、追加点をあげる。
仕上げは後半40分。藤井のパスミスを回収したMF山口蛍がFWジェアン・パトリッキへ。そのままゴール前まで運び、パトリッキが山口へリターン。駆け上がってきたDF酒井高徳へ流し、最後は武藤へ優しいラストパス。美しい崩しで武藤がダメ押しの5点目をあげ、タイムアップとなった。
同試合により、大量5得点をあげた神戸が首位をキープ。鹿島は4連敗となり、15位まで順位を落としている。

勝利ポイントは出足の鋭さ
同試合における神戸の勝因は、オフェンス(攻撃)ディフェンス(守備)両面での「出足の良さ」と言えよう。
オフェンスでは、後半27分の4点目のシーンをあげたい。
一方ディフェンスでは、セカンドボール(こぼれ球)に対して、神戸オフェンス陣が必ず反応していたことがあげられるだろう。鹿島の前線へのパスは、山口がほとんどシャットアウトしていた点で見ることができた。
全体的に前への意識が強かった神戸。引いたスタイルを一切見せないことが、アウェイの地での勝利の要因であったと言える。

MOMは大迫勇也
同試合のマンオブザマッチ(MOM)には、2得点を挙げた大迫を選出する。得点シーンはもちろんのこと、最大の貢献は攻撃時のターゲットとして君臨していたことだ。強みであるポストプレーに加え、前線から降りてきてボールを引き出すプレーを何度も見せた。
得点には至らなかったが、前半26分のシーンは象徴的である。頂点から降りてきた大迫は、山口からボールを引き出す。そのままボールをキープすることで味方選手が上がる時間を作り、サイドを上がってきた初瀬へ。その間にゴール前へは神戸の選手が3人走りこんでいた。
32歳を迎えたストライカー大迫は、自身の得点だけでなく、味方を活かすプレーも選択できるように円熟味を増してきた。同試合ではプレータイムが62分と少なかったが、自身の存在意義をピッチで十二分に証明したと言えるだろう。