フィリップ・トルシエ監督が率いるベトナム代表が、ブラジル出身選手2人を年内にも代表に招集する可能性があると地元メディアが伝えている。ベトナム代表は来年初めに開催されるAFCアジアカップで、日本、イラク、インドネシアと同じグループDに入っている。

 ベトナム代表招集が噂されているのは、FWラファエルソン・ベゼラ・フェルナンデス(26歳)とMFヘンドリオ・アラウージョ・ダ・シルバ(29歳)の2選手。いずれもVリーグで数シーズンにわたって活躍しており、リーグ屈指の助っ人と評価されている。

 このうち、ラファエルソンは184cm/97kgの巨漢ストライカー。2020年からベトナムでプレーしており、強靭なフィジカルを武器にゴールを量産中。今シーズンは14試合を消化して13ゴールを挙げて得点王争いを独走している。2018年にはベガルタ仙台に所属していたが、怪我もあり大きなインパクトを残すことはできなかった。

 ヘンドリオは、バルセロナ下部組織出身の技巧派レフティー。ポルトガルとスペインのクラブを転々とした後、2021年からベトナムでプレーしている。スペイン時代にフットサルで培ったテクニックで、高いアシスト能力を誇る。

 両選手はVリーグでコンスタントに結果を残しているだけでなく、これまでに幾度となくベトナム代表でのプレーに意欲を示してきた。特に、ヘンドリオは帰化申請の手続きを完了しており、あとは承認を待つだけの状態とされている。

 帰化に成功した場合、両選手は晴れてベトナム代表に招集される権利を有することになる。

ベトナムサッカー連盟(VFF)は、帰化選手の招集に及び腰で、2009年を最後に帰化選手が招集されたことはない。この間には、リーグ最多得点記録保持者のナイジェリア人FWサムソン・カヨデ(ホアン・ブー・サムソン)と194cmのオランダ人DFダニー・ファン・バケル(グエン・バン・バケル)が帰化しているが、やはり彼らに門戸が開かれることはなかった。

 一方、今年2月末に就任したトルシエ監督は、チーム強化のために帰化選手の力を借りる可能性を除外していないとされる。トルシエ監督は以前、チーム強化のためには越僑選手(ベトナムにルーツを持つ外国人選手)の力が必要と語っており、実際、ロシア系GKダン・バン・ラムやドイツ系DFアドリアーノ・シュミットを代表招集している。これをベトナムにルーツを持たない帰化選手に拡大しても不思議ではない。

 なお、トルシエ監督は、日本代表監督時代(1998-2002)に、ブラジル出身のFW呂比須ワグナーとMF三都主アレサンドロを招集していた。