2023明治安田生命J2リーグ。消化試合数に多少の違いはあるものの、全てのクラブが残り試合数1桁となった。

優勝戦線では、新興勢力の町田ゼルビアをJリーグ屈指の3つの名門クラブ(清水エスパルスジュビロ磐田東京ヴェルディ)が追う展開で大いに盛り上がりを見せている。

優勝や自動昇格(上位2クラブ)だけでなく、プレーオフ参加資格獲得(3~6位の4クラブ)を巡っても、ここから更に争いは熾烈になっていくことだろう。特に今2023シーズンは、プレーオフ優勝クラブが入れ替え戦なしでJ1昇格できるレギュレーションとなっている。現時点6位から11位までの勝ち点差がわずかに3と、トップハーフの全クラブがプレーオフ進出の可能性を多く残している。

ここでは、そんな大混戦となっているプレーオフ圏争いの行方を、今季の対戦成績を含めて考察してみたい。なお、12位以下のクラブにも可能性は残っているが、11位大分トリニータと12位水戸ホーリーホックとの勝ち点差が6と離れていることから、11位までを区切りとしてまとめていく。

【J2リーグ2023】大混戦!プレーオフ圏争いの行方は?

上位4クラブはプレーオフ当確か

9月17日のJ2第35節終了時点、上位4クラブと勝ち点は以下のとおり。

  • 1位:町田ゼルビア(勝ち点68)
  • 2位:清水エスパルス(勝ち点63)
  • 3位:ジュビロ磐田(勝ち点62)
  • 4位:東京ヴェルディ(勝ち点60)

1試合未消化ながら勝ち点68で町田が首位。勝ち点差5で続く清水から、4位東京Vまでの勝ち点差がわずかに3であることから、この4クラブ全てにプレーオフの可能性があるだろう。いずれも7試合以上を残した状況で勝ち点は60を超えている。過去5シーズンの6位を見てみると平均勝ち点が約67であることから、残り試合数を考慮してもやはりこの4クラブのプレーオフ圏はほぼ確実と言える。

町田は自動昇格の2枠に入る可能性が最も高いため、ひと足先にプレーオフ圏からも抜け出しそうだ。勝ち点や消化試合数などの優位性もさることながら、4クラブの中で唯一すでに他の上位3クラブとの直接対決を終えていることが大きい。

直接対決という点において、最も不利なのが磐田だ。清水や東京Vとの2試合が残っており、勝てばもちろん一気に自動昇格枠に近づくものの、敗れればプレーオフでの戦いを免れないため厳しい試合が多くなることは間違いない。僅差でしのぎを削るこの4クラブに圧倒的な優劣はなく、いつ順位がひっくり返ってもおかしくない状況だ。どのクラブが今季のJ2王者に輝くのか、今後の試合展開に注目したい。

【J2リーグ2023】大混戦!プレーオフ圏争いの行方は?

僅差の5位~7位クラブの争い

ではJ2第35節終了時点、5位から7位のクラブと勝ち点を見てみよう。

上位4クラブのうち2クラブがほぼ確実にプレーオフへ回ると仮定すると、5位や6位のクラブにとって手強い相手になることは想像に難くないが、まずはプレーオフ圏(6位以上)に入り挑戦権を獲得しなければ始まらない。

得失点差も含め5位につける長崎が優位と思われる一方、第36節から首位町田、3位磐田との連戦が組まれており、ここで連敗すれば一気に順位を下げる恐れもあるだろう。

直近5連勝で一気に駆け上がってきた6位の千葉も、残りの対戦カードのうち今季勝利を挙げているのは東京Vと長崎の2つのみ。簡単な戦いではないが、連勝中の勢いのまま突き進むことができれば、一気にプレーオフ圏の維持が現実味を帯びる。第37節での勝ち点の近い9位ファジアーノ岡山との対戦は、今季最初にドローゲームとなっているだけにターニングポイントになるだろう。

そして、このままではプレーオフへの道が断たれる7位の甲府。この先のカードを見ても長崎同様、昇格への道のりは険しい。第36節では2位の清水、さらに首位町田、5位長崎と、ここから上位勢との直接対決を多く残している。

また開幕以来上位をキープしているものの、8月以降の白星はわずかに1つのみ。清水、町田に対してはシーズン序盤で勝利を挙げているが、同じ結果を残せなければ一気にプレーオフ戦線から脱落する可能性も高い。

勝ち点差3でプレーオフ入りを争うこの3クラブの中では、勢いのある千葉が優勢とみられ、長崎と甲府は残る上位勢との対戦で勝利し、勝ち点をものに出来るかが大きなカギとなる。

【J2リーグ2023】大混戦!プレーオフ圏争いの行方は?

勝ち点51で並ぶ8位~11位クラブ

そして今季のプレーオフ圏争いをより混戦模様にさせているのが勝ち点51で並ぶ4クラブである。

最も不気味なのは8位の群馬だ。6位の千葉とわずか勝ち点3差でプレーオフ圏外に甘んじている。消化試合が2試合少ないことも大きなアドバンテージと言える。さらに残り9試合中7試合のカードで今季勝利を得られている。ここから逆転でプレーオフを狙うクラブの中では最も可能性が高いと言えよう。

また、9位の岡山も残り7試合の対戦カードでは今季の対戦成績が4勝2分1敗と好成績。第36節の磐田戦で開幕戦同様(3-2)の結果を再現できればプレーオフが近づくことは間違いない。

どうにも読めないのが10位山形と11位大分の2クラブだ。

10位山形は今季連勝と連敗を繰り返しており、時期によって明らかな波がある。

引き分け数3はリーグで最も少なく勝敗を明確に決めてきているが、勝敗数はいずれも16と五分五分。残り7試合の対戦カードを見ても、今季の戦績は3勝1分3敗とフラットで非常に予想しにくい。ただし、うち5試合が下位勢とのカードであり、下位勢相手に白星を積めるかが明暗を分けるだろう。また今季の流れが続くとすれば、引き分けを挟んで3戦勝ち無しの後前節では勝利を挙げていることから、今後再び連勝という期待も膨らむ。

11位大分は開幕から夏までは好調を維持してきたが、怪我人が相次ぐなどし7月以降に挙げた白星はわずかに2つ。悪い流れを断ち切れないまま終盤戦へと突入している。第36節の相手は12位の水戸ホーリーホック。大分と対照的に直近10戦負けなしで、9月に入って3連勝中と勢いに乗っている。水戸に第11節で敗北している大分が、この勝負で悪い流れを断ち切れるかどうか、命運を分ける試合になりそうだ。

【J2リーグ2023】大混戦!プレーオフ圏争いの行方は?

J2プレーオフ圏最終順位予想

大混戦となっている今季J2のプレーオフ圏争いについて、これまでの戦績や残りの対戦カードから現状を整理してきた。踏まえて、プレーオフ圏6位以上に進出すると思われるクラブの順位予想がこれだ。

  • 1位:町田ゼルビア
  • 2位:清水エスパルス
  • 3位:東京ヴェルディ
  • 4位:ジュビロ磐田
  • 5位:ザスパクサツ群馬
  • 6位:ジェフユナイテッド千葉

もちろん最終順位は大きく変わる可能性があるものの、上位4クラブが大きく崩れない限り、それ以下の順位のクラブが争う椅子は2つ。

J1昇格を目指し、どのクラブがその挑戦権を獲得するのか、終盤を迎えたJ2リーグから目が離せない。

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