町田ゼルビアの初優勝で幕を閉じた2023明治安田生命J2リーグ。最終節までもつれ込んだ自動昇格圏争いやプレーオフ圏争いが物語る通り、今季も各節で熱戦が繰り広げられた。
ここでは、数々の名勝負が生まれた2023シーズンのJ2リーグにおいて、特に印象に残った逆転劇10試合を紹介する。

第6節:V・ファーレン長崎VSモンテディオ山形(3-2)
「フアンマ劇場」
開幕から2連敗を含む4戦未勝利とつまずいたV・ファーレン長崎は、第5節にようやく挙げた今季初勝利の勢いをもって第6節のモンテディオ山形戦に臨んだ。先制される試合展開の中、結果的に今季J2得点王となった新戦力のFWフアンマ・デルガドが目を覚ます。後半に同点ゴールを挙げると、一時は再びリードを許すも再度フアンマのゴールで同点へ。そして迎えた後半のアディショナルタイムにもゴールを決めハットトリックを達成。5年ぶりにチームへ帰還したエースの働きで連勝を果たした。

第8節:清水エスパルスVS東京ヴェルディ(2-1)
「再出発」
開幕から7戦未勝利、さらに第7節を最後に昨2022シーズン途中からチームを率いたゼ・リカルド監督の解任といきなり窮地に立たされた清水エスパルス。秋葉忠宏新監督の初陣となった第8節は、開幕から好調の東京ヴェルディをホームに迎えた。セットプレーの流れから先行を許し暗雲が立ち込めるが、前半終盤に1点を返して振り出しに戻す。そして迎えた後半終了間際、途中からゲームに入っていたFWオ・セフンが持ち前の高さと強さを活かすヘディングでのゴールを挙げついに逆転。待望の今季初勝利を挙げた。

第23節:ジェフユナイテッド千葉VSヴァンフォーレ甲府(2-1)
「躍動する若き力」
5戦未勝利で第23節を迎えたジェフユナイテッド市原・千葉。前半にPKのチャンスを得るも失敗。その直後に先制点を奪われるという厳しいゲーム展開となった。しかし、大卒ルーキーのFW小森飛絢のゴールで同点とすると、後半アディショナルにはこちらもルーキーのFW新明龍太がJリーグ初ゴールをマーク。

第25節:水戸ホーリーホックVSいわきFC(3-4)
「救世主」
4戦負けなしと好調を維持し、第25節の水戸ホーリーホック戦に臨んだいわきFCだったが、開始早々に先制点を奪われる難しい試合となった。前半のうちに追いつくも再び勝ち越しを許し、後半にも水戸に追加点を許す展開。しかし、途中出場したMF岩渕弘人のゴールで1点差に迫ると直後にもゴールを奪いゲームを振り出しに戻す。さらに終了間際にはこの日2点目となる岩渕の逆転ゴールが決まり試合終了。水戸との壮絶な打ち合いを制した。

第31節:清水エスパルスVS町田ゼルビア(3-2)
「名門の意地」
注目の上位対決となった第31節の清水エスパルスと町田ゼルビアの一戦。今季最初の対戦で、終盤に劇的なゴールを許した清水にとっては雪辱を果たす絶好の機会となったが、序盤から出鼻をくじかれる展開に。開始早々、町田にゴールを許すと前半2失点と首位の力を見せつけられる。それでも、前半のうちに1点を返すと後半にはMF乾貴士のゴールで同点。さらに終盤、エースFWチアゴ・サンタナにもゴールが生まれ首位を打ち砕く劇的な逆転勝利を挙げた。

第34節:ヴァンフォーレ甲府VS大分トリニータ(3-2)
「光明を見出した1勝」
7月末から6戦未勝利で第34節の大分トリニータ戦を迎えたヴァンフォーレ甲府。この日も前半から2点ビハインドという厳しい状況となっていた。しかし、後半に入ると流れは一変。早々に1点を返すとオウンゴールでの追加点で同点に追いつく。

第39節:東京ヴェルディVSジェフユナイテッド千葉(3-2)
「怒涛の13分間」
今季は互いにJ1昇格を狙える位置につけていた東京ヴェルディとジェフユナイテッド市原・千葉。J2リーグも最終盤を迎えた第39節は、オリジナル10(※)同士の注目カードが組まれた。自動昇格圏入りを目指し、どうしても白星を挙げたい東京Vだったが、前半立て続けにゴールを奪われ0-2で折り返す展開に。後半に入ってもなかなかスコアを動かせずにいたが、終盤に差し掛かった79分にようやく1点を返すと89分には同点へ。さらにアディショナルタイムに追加点を挙げた東京Vが逆転に成功し試合終了。城福浩監督からも渾身のガッツポーズが出る勝利となった。
※オリジナル10:Jリーグ発足時に加盟した10クラブの通称

第39節:大宮アルディージャVS藤枝MYFC(3-2)
「奇跡を信じて」
残留に向け第36節から3連勝と意地を見せた大宮アルディージャは、第39節で藤枝MYFCと対戦。さらに勢いをつけたいところだったが、前半に先制を許し後半頭にも追加点を奪われる展開に。しかし、好調の勢いか1点を返したのちは藤枝に退場者が出たこともあり優位に試合を進め、89分にはDF袴田裕太郎のゴールでついに同点。アディショナルタイムにも再び袴田が決めて、奇しくも今季1戦目とは真逆のスコアで終盤に破竹の4連勝を達成させた。

第41節:ザスパクサツ群馬VSジェフユナイテッド千葉(1-2)
「次の舞台への一撃」
プレーオフ進出を懸け、ザスパクサツ群馬との大一番に臨んだ第41節のジェフユナイテッド市原・千葉。前半はゴールを奪えずスコアレスで折り返し、後半には耐え続けた群馬に先制点を与えてしまう。

第42節:ジュビロ磐田VS栃木SC(2-1)
「J1復帰へ」
清水エスパルス、ジュビロ磐田、東京ヴェルディの3チームが自動昇格圏入りの可能性を残す中で迎えたJ2最終節。2位清水が敗れれば自チームの勝利で自動昇格を狙える磐田だったが、下位に苦しむ栃木SCを相手に先手を取られる難しい試合となった。それでも、前半終盤に同点にして試合を折り返すと、今季これまでチーム2位のゴール数で攻撃を牽引してきたMF松本昌也のゴールで逆転に成功。1点差を守り切り、1年でJ1復帰を果たす逆転劇を見せた。