11月16日のミャンマー戦(5-0)に続き、11月21日のシリア戦も5-0と大勝を収めた日本代表。連勝記録を8に伸ばし、うち6試合が3点差以上をつける勝利で快進撃を続けている。
すでにA代表でも中軸となっているMF久保建英(レアル・ソシエダ)を筆頭に、10月のチュニジア戦でも出場を果たしたGK鈴木彩艶(シント=トロイデン)やFW細谷真大(柏レイソル)といった選手も今回の活動に招集され、シリア戦では揃って出場機会を得て活躍した。
11月18日に開催されたパリ世代の試合では、アルゼンチン代表を相手に5-2と大勝したU-22代表チーム。ここからさらに絞り込まれる五輪への代表メンバー入りはもちろん、鈴木や細谷に続くA代表入りに向けても大きなアピールとなったことだろう。2024年1月には、元旦のタイ戦に続いてAFCアジアカップも行われる。A代表経由でパリ行きを狙う若い選手たちにとっては願ってもないアピールの場と言えよう。ここでは、今後A代表での活躍にも期待がかかるパリ世代の選手たちを5名、今季の活躍も含めて紹介していく。

鈴木唯人(ブレンビー)
プロとしてデビューした清水エスパルスから2023年1月に期限付きでフランスのストラスブールへ渡ったMF鈴木唯人。パリ世代の活動においては背番号「10」を背負う中心選手だが、最初の欧州挑戦はほろ苦いものとなった。
ストラスブールでの出場はわずかに3試合のみ。デビュー戦では、途中出場から鮮やかなドリブル突破で敵陣に切り込み初ゴールをマークするも、活躍の場は思うように増えず。その結果、7月に1度清水へ復帰している。帰還後は3試合で1ゴール1アシストと活躍し、昇格へ勢いをつける存在になるかと思われたが、8月にデンマークのブレンビーへ完全移籍が報じられ、早くも2度目の海外挑戦を果たしている。
直近行われたU-22代表活動においては、静岡のIAIスタジアム日本平で行われたアルゼンチン戦に先発出場。馴染み深い清水の本拠地で2ゴールを挙げる活躍をみせ会場を湧かせた。2022年1月に一度A代表への招集を受けている鈴木。世代別とはいえ南米の強豪国相手に見せた活躍で、再びA代表への招集と定着のチャンスを得られるか。若きアタッカーへの期待度は高い。

藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)
今夏ベルギーリーグのシント=トロイデンへ移籍し、初の海外挑戦を果たしたMF藤田譲瑠チマ。U-22代表では中盤の舵取り役として不動の地位を確立してきた。A代表でもすでにデビューを飾っており、昨2022年の7月に開催されたEAFF E-1サッカー選手権で香港戦と韓国戦の2試合に出場。日本の優勝にも一役買っている。
ピッチ上のいたるところに顔を出す運動量とポジショニングの良さに加え、ゲームメイクにも長けており、長短のパスで的確にチームをコントロールすることが可能な藤田。直近のアルゼンチン戦においても、この能力が随所に見られた。さらに、チーム5点目となったFW福田師王(ボルシアMGⅡ)への絶妙なロングパスでのアシストなど、90分で見事に自身を表現してみせた。
すでにA代表デビューを果たしていることから、GK鈴木彩艶やFW細谷真大よりも一歩先を行っているとの見方もできる。

松木玖生(FC東京)
昨2022シーズンは高卒ルーキーながらも開幕スタメンを勝ち取り、今季も主力としてFC東京を支えるMF松木玖生。今年行われたU-20ワールドカップではキャプテンとしてチームを牽引し、パリ世代の代表活動でも攻守において大きな存在感を放っている。11月1日にはAFC年間最優秀ユース選手賞も受賞しており、名実ともにアジアを代表する若き至宝だ。
強靭なフィジカルや精度の高いキックはプロになってなお輝きを放っており、海外組も複数いるパリ世代の中でも全く見劣りしない。また、今夏には海外移籍が噂されるなどこの冬の動向が注目される選手の1人でもある。10月に行われた北米遠征の2試合(メキシコ戦、アメリカ戦)に続き、今月のアルゼンチン戦でも先発出場を果たした松木。今回先発を外れたMF山本理仁(シント=トロイデン)やMF川﨑颯太(京都サンガ)など、招集外のメンバーも含めてパリ世代の中でさえ中盤の序列争いは熾烈だ。
しかし、高い能力に加え年齢も考慮すれば、海外クラブやA代表で活躍する姿を早く見たいと感じるファンが多くても不思議はない。次世代を代表する選手としてA代表のピッチに立つ日はいつになるのか注目だ。

半田陸(ガンバ大阪)
高校卒業後に加入したモンテディオ山形(J2)での活躍が認められ、今季はガンバ大阪で自身初のJ1へ挑戦しているDF半田陸もA代表デビューが待たれる選手の1人だ。
今年3月に行われたキリンチャレンジカップ(ウルグアイ戦、コロンビア戦)の際、A代表メンバーとして選出されるも出場は叶わず。以降は怪我による離脱の影響もあり代表はもとよりクラブでの出場からも遠ざかっていた。
機を見た攻撃参加は同世代の中で抜きん出た能力を持っている。しかし、A代表視点でみれば海外でも活躍しているDF菅原由勢(アルクマール)や急激に台頭してきたDF毎熊晟矢(C大阪)など、右サイドは序列争いが激化しつつある。それでも、夏には海外移籍も噂されたほど注目度の高い選手であることは周知の事実。J2からJ1へのステップアップを果たしたように、代表でも世代別からA代表でのデビューへと着実に階段を上ってほしい存在と言えよう。

三戸舜介(アルビレックス新潟)
今2023シーズン、6年ぶりにJ2からJ1へ復帰を果たし、すでにリーグ残留も決めたアルビレックス新潟。そんな新潟で急成長を遂げているのがMF三戸舜介だ。もともと縦への推進力やボールコントロールに定評があった三戸だが、これまで新潟の攻撃を牽引していた司令塔MF伊藤涼太郎がシント=トロイデンに移籍した6月以降はより凄みを増しているようにも見える。
切れ味鋭いドリブルや強烈なシュートを武器に、2列目のサイドや中央で躍動。21歳にしてすでにチームの中核と言えるほどの存在感を放っている。直近のU-22代表ではアルゼンチン戦に先発出場。
A代表を見ると、同じくパリ世代のMF久保建英をはじめ、右にはMF堂安律(フライブルク)やMF伊東純也(スタッド・ランス)。左にはMF三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン)と2列目は海外クラブで主力として活躍する選手が並んでおり、国内で活躍する三戸ほどの選手であっても割って入ることは困難と言わざるを得ない陣容だ。しかし、J2からJ1に舞台を移してもなお急激にピッチ上での存在価値を高めているだけに、短期間でさらなる覚醒を経てA代表デビューする日は近いのかもしれない。