2023シーズンのFC東京は開幕戦で幸先よく無失点勝利を飾ったものの、それ以降思うように勝ち星を重ねられず、第17節終了後には前年からチームを率いたアルベルト・プッチ・オルトネダ監督の退任に至るなど厳しいシーズンとなった。最終順位も11位と、2017年シーズン(13位)以来となる2桁で着地。

来季、再び上位争いに加わるべく、今冬は積極的に補強の動きを見せている。

新加入選手たちの活躍に期待する一方、長くチームを見ているファンやサポーターからすれば、かつてFC東京で活躍し海外へ羽ばたいていった選手に帰ってきてほしいと願う声があっても不思議はない。

ここでは、FC東京から海外移籍を果たし現在も活躍を続けている選手の中で、特に帰還を望む声が多そうな選手を5名紹介していく。

武藤嘉紀、戻ってきて!FC東京から海外移籍した選手5選

武藤嘉紀ヴィッセル神戸

2023シーズンのJ1リーグで初優勝を遂げたヴィッセル神戸において、FW大迫勇也と強烈なコンビを形成したFW武藤嘉紀。プロデビューをFC東京で飾っており、ルーキーイヤーの2014年と翌2015年はともに2桁ゴールを挙げ大きな期待を寄せられた選手だ。

Jリーグでの活躍を経て、2015年5月にドイツのFSVマインツ05へ移籍。コンスタントに出場機会を得て、リーグ戦では3シーズンで計20ゴールと存在感を見せている。

しかし、その後移籍したイングランドのニューカッスル・ユナイテッドやスペインのSDエイバルでは思うように得点を重ねられず、2021年8月に神戸に移籍しJリーグ復帰を果たした。

今季は、終盤でも衰えない運動量を武器としたプレスでチームに貢献。数字の上でも10ゴール10アシストと申し分ない働きでクラブのJ1初優勝を支えた。かつてFC東京にいた頃と変わらない、むしろ洗練された得点力と未だ衰え知らずの運動量。海外移籍を経て進化を遂げた武藤を求めるFC東京のファンやサポーターが多くいたとしても不思議はないだろう。

武藤嘉紀、戻ってきて!FC東京から海外移籍した選手5選

久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)

今や日本代表において不可欠な存在であり、現在の拠点スペインの地でも高い評価を受けているMF久保建英。同国の名門FCバルセロナの下部組織から帰国後の2015年にFC東京の下部組織へ入団し、2017年11月にプロ契約を結ぶと同月に16歳でJ1リーグデビューを果たしている。

途中横浜F・マリノスへの期限付き移籍もあったが、チームに戻った2019シーズンは開幕スタメンに名を連ね、以降華麗なゴールなどでチームを牽引する働きをみせた。同年6月にレアル・マドリードへ移籍したため、FC東京での出場試合数は必ずしも多いとは言えないが、わずかな期間で大きなインパクトを残したことは間違いない。

ここから先、さらなるビッグクラブへ移籍することも期待される選手の1人だが、またいつの日かJリーグでプレーする姿を見たいものだ。

武藤嘉紀、戻ってきて!FC東京から海外移籍した選手5選

権田修一清水エスパルス

クラブ史上初、J2で2シーズン目を迎える清水エスパルスの守護神GK権田修一も、FC東京から海外挑戦を果たした選手の1人だ。FC東京の下部組織から2007年にトップチームに昇格、2009年には開幕スタメンに抜擢された。以降2015シーズンまで多くの試合で正GKとしてFC東京のゴールを守ってきた権田。

最初の海外移籍はSVホルン(オーストリア)への期限付き移籍だったが、その後FC東京に戻ることはなく、サガン鳥栖やポルトガルリーグのポルティモネンセを経て現在に至る。

FC東京を離れている間に日本代表でも主力を務め、2022年のカタールW杯でも守護神としてベスト16に貢献した。期限付き移籍から一度も帰還していない選手であることから、今一度FC東京でプレーする姿を見たいと思うファンやサポーターは多いのではないだろうか。

武藤嘉紀、戻ってきて!FC東京から海外移籍した選手5選

渡辺剛(KAAヘント/ベルギー)

今や多くの日本人選手が活躍するベルギーリーグ。2022年にFC東京からKVコルトレイクへ移籍したDF渡辺剛もその1人だ。昨2022/23シーズンは主力として全試合フル出場を達成。高い守備力でチームを支えた。今季は同じくベルギーのKAAヘントへ移籍したが、変わらず守備の中軸として活躍している。

FC東京時代から発揮していた高い対人能力はベルギーの地でも変わらず、地上戦でも空中戦でも相手の攻撃をはじき返しボールを奪い切る技術にも一層磨きがかかってきた。その活躍が認められ、2024年1月13日に開幕するAFCアジアカップに向けた日本代表のメンバーにも選ばれている。

現在のFC東京には、DF森重真人をはじめ頼れるセンターバックが揃っている。だが、次世代の担い手として渡辺がもし帰還すれば、クラブにとってもこれほど大きな存在はないだろう。

武藤嘉紀、戻ってきて!FC東京から海外移籍した選手5選

室屋成(ハノーファー96/ドイツ)

リオデジャネイロ五輪の日本代表メンバーの1人、DF室屋成も海外で活躍するFC東京出身選手の1人だ。2016年に明治大学からFC東京へ加入し、2017年以降はチーム内の激しいポジション争いもありながら定位置を掴み主力の右サイドバックとして躍動した。

そして、2020年途中にドイツのハノーファー96へ移籍。以降は一貫して同クラブでプレーしている。高い守備力はもちろん前への推進力に定評があり、移籍後も昨季までの3シーズンはいずれも多くの出場機会を確保してきた。今冬は、高校時代の恩師でもある黒田剛監督が率いる町田ゼルビアへの移籍が噂されたが2024年1月10日時点で加入の報はない。

昨季主力に怪我人が出たことで苦労したFC東京の右サイドバック問題。ファンやサポーターからすれば、そこを主戦場としている室屋に帰って来てほしいだろう。

頼れる存在であることは間違いない。