清水エスパルスアルビレックス新潟、町田ゼルビアなどでプレーしていた鄭大世氏は、今月21日開催の北中米W杯アジア2次予選・日本代表対北朝鮮代表の解説を担当。試合後、北朝鮮代表選手としての自身のキャリアを振り返っている。

 韓国籍の父親と北朝鮮籍の母親を持つ鄭大世氏は、朝鮮学校へ通っていたこともあり、韓国籍のまま北朝鮮のパスポートを取得。2010年の南アフリカW杯でプレーするなど、北朝鮮代表の国際Aマッチ33試合出場で15ゴールをマーク。2013年、韓国1部・水原三星へ移籍する際に、北朝鮮のパスポートを返納したため、同年以降は北朝鮮代表に招集されなかった。

 そんな鄭大世氏は日本対北朝鮮での解説を終えると、22日深夜にX(旧ツイッター)を更新。「まだ思いが熱いうちに。心を書き綴る」と一言添えた上で、「2024年3月21日の日本代表対北朝鮮代表の試合解説業は自分の人生において、とてつもなく大きな偉大な仕事となった」と切り出すと、北朝鮮代表としてプレーしていた自身の過去を綴っている。

 2011年9月のW杯アジア3次予選・日本戦(埼玉スタジアム)でのプレーも振り返った鄭大世氏だが、「2013年に韓国のパスポートを取得して事実上の北朝鮮代表を引退。代表引退当時は北朝鮮代表は弱いし報酬も貰えない。ユニフォームもカッコ悪い。環境も劣悪だし代表選手としての価値に意味はない。と自分に言いきかせて韓国へと渡った」と、代表引退の背景にも言及。

 「この時は誰にも相談しなかった。

ひとりで決めた」とした上で、「韓国のパスポート取得の事実が明るみになると、尽力してくれた関係者はもちろんのこと北朝鮮代表幹部にまで衝撃を与え、いわゆる『裏切り者』になったと思う」と、北朝鮮側の反応にも触れた。

 自身と縁の深い両国代表の対戦でも、冷静沈着な解説に終始し、サッカーファンからの支持を得た鄭大世氏。現役時代の熱い思いが、反響を呼んでいる。