ジェフ千葉は2023シーズン、オフィシャルパートナーである株式会社エスエスケイが展開する『hummel(ヒュンメル)』の点字シャツプロジェクトに参加。
その一環としてジェフ千葉は、昨シーズンJ2第36節ベガルタ仙台戦(3-1)のウォーミングアップや入場時に選手が着用した点字シャツ(サイン入り)のチャリティオークションを実施。売り上げは全額千葉盲学校に寄付された。ほかにも試合会場で販売された点字シャツの一部収益とhummelのジュニア用ビブス(10枚1セット×4セット)が、点字シャツプロジェクトから学校へ寄贈された。

STTを通じて生まれた絆
千葉盲学校での交流会は6時間目の授業時間を使って行われ、島田亮代表取締役と佐藤勇人CUOが障がい者スポーツであるSTT(サウンド・テーブル・テニス)を体験。STTは目隠しをして行う卓球で、プレイヤーは球から出る音を頼りにボールを相手コートに打ち返さなければならない。一般的な卓球とは異なり、ボールをネットの下に通す独自ルールに苦戦しながら奮闘し、生徒たちと和気あいあいとした時間を過ごした。最初はやや緊張気味だった生徒たちもSTTを通して佐藤CUOとの距離が縮まり、実際に対戦した高校2年生の網谷くんは「手加減してあげました」と冗談で会場を笑わせるなど絆を深めた。
レーベル遺伝性視神経症という視覚障がいを抱える網谷くんは、中学1年生の11月に病気を発症。それまで続けていたバドミントンが思うようにプレーできなくなるなど、多くの苦労を重ねるなかで自分を見失いそうになった時期もあったそうだが、中学3年生の頃に訪れた千葉盲学校で、STTのような自分にもできるスポーツを体験し新たな楽しみを見つけられたという。網谷くんは「佐藤さんの元プロ選手としての想いを聞かせてもらうことで、これからも頑張り続けたいと思うようになった。スポーツは僕に楽しさと強さをくれるものです」と語り、交流会は生徒たちがスポーツの素晴らしさを改めて感じる場となったようだ。
一方の佐藤CUOは「予想以上に汗をかいています。

サッカーができる社会貢献活動とは何か
日本における視覚障がい者への支援はまだ十分であるとはいえず、千葉盲学校も特別多くの予算が組まれているわけではない。そのような現状の中で行われた交流会について盲学校の職員からは「今回ジェフさんから頂いた寄付金などは、我々の備品や補助具といった生徒たちに還元できるものとして大切に使っていきたいです。まず第一に、多くの人が私たちの取り組みやこの学校のこと、そしてジェフさんのチャリティー活動自体を知りません。視覚障がいの人たちの生活や苦悩を、サッカー関係の人々にも知ってもらうことで、視覚障がいを持った人たちが少しでも快適に暮らせる社会をつくっていけたら嬉しいです」と語った。今回のチャリティーに使用された点字シャツは『hummel』がサポートするスポーツクラブとの協働プロジェクトとなっており、スポーツ界にとっても先進的な取り組みである。サッカーではJリーグからジェフ千葉、ガンバ大阪、ツエーゲン金沢、WEリーグからINAC神戸が参加している。
交流会に参加したジェフ千葉の関係者は「私たちはサッカークラブという看板があるからこそ、このような機会をいただけている。だからこそ千葉を代表するJクラブとして、少しでも多くの人にこのような現実を知ってもらうために活動する意義や使命があります」と語った。
障がい者支援をしたくても、その方法がわからないという人も少なくないだろう。今回行われた点字シャツプロジェクトは、そのような人々にサッカーというメジャースポーツを通じて支援を行うための橋渡しとなり得る。地域に根差した活動を軸とする日本のプロサッカークラブや、そのチームを応援するサポーターにしか出来ない社会貢献活動の形があるはずだ。世界中で愛されるスポーツならではの支援方法は他にも存在するだろう。今後もサッカーが多くの社会的意義を果たせるスポーツであり続けることを願っている。