なでしこジャパンはグループステージ(総当たり戦)で、スペイン、ブラジル、ナイジェリアと同じ「グループC」に入っている。初戦となるスペインは言わずと知れた2023女子W杯の優勝国だが、その際のグループステージでは4-0で日本が勝っており、今大会での勝敗に注目が集まる。そんななか、もうひとつの楽しみが各国から出場する20歳以下の若い選手(U-20)の活躍だ。
現時点(2024年6月30日)で、日本以外(スペイン、ブラジル、ナイジェリア)の出場選手は公式発表前だが、この記事では「グループC」の4カ国について、パリ五輪出場および出場が予想される注目の若手選手7名を紹介していく(スペイン代表は暫定メンバー公表済み)
※記事内の年齢はパリオリンピック開催時

スペイン女子代表
MFヴィッキー・ロペス(18歳)
- 生年月日:2006年7月26日
- 現所属クラブ:FCバルセロナ・フェメニ(スペイン1部)
- 主な代表歴:FIFA U-17女子W杯2022インド大会(10月11日-30日)、2022UEFA U-17女子選手権(5月3日-15日)、2023UEFA U-17女子選手権(5月14日-26日)、2023/24UEFA女子ネーションズリーグ(2023年9月22日-12月5日・2024年2月23日-28日)
FWサルマ・パラジュエロ(20歳)
- 生年月日:2003年11月13日
- 現所属クラブ:FCバルセロナ・フェメニ(スペイン1部)
- 主な代表歴:2018UEFA U-17女子選手権(5月9日-21日)、FIFA U-17女子W杯2018ウルグアイ大会(11月13日-12月1日)、FIFA U-20女子W杯2020コスタリカ大会(2021年1月20日-2月6日)、FIFA女子W杯2023オーストラリア&ニュージーランド大会(7月20日-8月20日)
元々陸上競技の選手としても活躍していたパラジュエロは、2019年のヨーロッパユースオリンピックフェスティバルに陸上競技選手として出場。400mハードルとメドレーリレーで金メダルを獲得している。陸上競技のスキルをサッカーに活かしている期待の凄技選手だ!

ブラジル女子代表
MFジ・フェルナンデス(19歳)
- 生年月日:2004年12月23日
- 現所属クラブ:SCコリンチャンス・パウリスタ女子(ブラジル1部)
- 主な代表歴:2022南米U-20女子サッカー選手権(4月6日-24日)、2024南米U-20女子サッカー選手権(4月11日-5月5日)
FWドゥディーニャ(19歳)
- 生年月日:2005年7月4日
- 現所属クラブ:サンパウロFC女子(ブラジル1部パウリスタ女子サッカー選手権)
- 主な代表歴:FIFA U-20女子W杯2022コスタリカ大会(8月10日-28日)、FIFA U-17女子W杯2022インド大会(10月11日-30日)、2022年南米U-17女子選手権(3月1日-19日)
一方のドゥディーニャは、確かな実力で勝利の女神を引き寄せる選手。2021年に現所属クラブであるサンパウロFC女子のユースとして、パウリスタU-17、ナイキ・プレミアカップU-17、ブラジルU-18の3大会でタイトル獲得を経験。

ナイジェリア女子代表
MFデボラ・アビオドゥン(20歳)
- 生年月日:2003年11月2日
- 現所属クラブ:リバーズ・エンジェルス(ナイジェリア1部)
- 主な代表歴:国際親善試合(2022年10月6日)対日本戦、FIFA U-20女子W杯2022コスタリカ大会(8月10日-28日)、FIFA女子W杯2023オーストラリア&ニュージーランド大会(7月20日-8月20日)
W杯の招集メンバーにはMFデボラ・アビオドゥンの名前もあり、グループステージのカナダ戦で初出場を果たした。試合中にレッドカードを受け取る場面もあったが、その後も19歳とは思えないほど冷静なパフォーマンスで緻密なプレーを貫き、チーム全体をまとめるような雰囲気を生み出していた。試合結果は0-0の引き分けとなったが、将来のナイジェリアを牽引する存在としてアビオドゥンが世界にその名を広めた試合であったと言える。

日本女子代表
DF古賀塔子(18歳)
- 生年月日:2006年1月6日
- 現所属クラブ:フェイエノールト・ロッテルダム女子(オランダ1部)
- 主な代表歴:下記参照
MF谷川萌々子(19歳)
- 生年月日:2005年5月7日
- 現所属クラブ:ローゼンゴード(スウェーデン1部)
- 主な代表歴(2選手共通):MS&ADカップ2023(7月14日)対パナマ戦、国際親善試合(2023年11月30日・12月3日)対ブラジル戦、パリオリンピック2024年女子サッカーアジア最終予選(2月24日・28日)対 朝鮮民主主義人民共和国戦、2024SheBelieves Cup(4月6日・9日)、対アメリカ戦・ブラジル戦、国際親善試合(2024年5月31日・6月3日)対ニュージーランド戦
DF古賀塔子とMF谷川萌々子は同じ学年同士で共にJFAアカデミー福島の出身でもある。現在はそれぞれ海外のクラブで活躍しており、将来のなでしこジャパンを率いるであろう重要な立ち位置の選手たちだ。
高さと安定感のあるディフェンスが特徴の古賀は、弱冠18歳にして既に代表出場数は8回に上り(2024年6月時点)、今年5月31日に行われた国際親善試合ではニュージーランド相手に代表初得点も挙げた。現所属クラブであるフェイエノールト・ロッテルダム女子は古賀について「日本で最も才能のある選手の1人」と称賛の声をあげている。
一方の谷川は、持ち前の攻撃センスと得点率の高さが魅力の選手。その才能が特に発揮されていたのが、2023年9月19日~10月7日に開催された第19回アジア競技大会(2022/杭州)だ。谷川は日本の初戦となったグループステージ(グループD)のバングラデシュ戦で、開始8分後のPKを決め2点目をマークすると、その溢れるパワーは留まることなく後半80分にも2度目のゴールを決め、グループステージ通過に貢献した(8-0)。また、後の準々決勝(フィリピン戦)でも前半39分にチーム最初のゴールを決め大勝の起爆剤となった(8-1)。さらに準決勝(中国戦4-3)や決勝(朝鮮民主主義人民共和国戦4-1)でも1得点ずつ獲得し、チームを優勝へと導いた。谷川のこの才能は、パリ五輪を通じて一層世界から注目されることだろう!