市場では景気後退懸念が根強い。そんな中、連邦準備制度理事会(FRB)高官は市場の来年の利下げ観測の払しょくに努めている。
セントルイス連銀のブラード総裁は現在、米国経済が景気後退だとは思わないとし、年内に政策金利を3.75%から4%まで引き上げるべきだと主張。さらに、物価を引き下げるため、金利は長期にわたり、高い水準が必要となる可能性を指摘した。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁もFRBがインフレ対処の戦いを終了しておらず、まだ、中立水準と見られる3%にも達しておいないとし、年末までに政策金利を3.4%まで引き上げることが理に適うとした。

米供給管理協会(ISM)が発表した7月ISM非製造業景況指数は56.7と、悪化予想に反し、6月55.3から改善し、4月来で最高となり、FRB高官の見通しを裏付ける形となった。50を26カ月連続で上回り、活動拡大が継続。重要項目の新規受注が59.9と、6月56.7から低下予想に反し上昇したことが全体指数を押し上げた。
26カ月連続で活動の拡大となった。

一方で、サービス業の雇用は49.1と、6月49.8から予想外の上昇も依然50を下回り縮小を示した。活動縮小は過去6カ月で4カ月目となる。ただ、企業のコメントでは、退職や転職などで、自社退職が増える一方で、その人数を補う新たな採用が非常に困難としており、雇用需要は依然強いことが示されたことも、FRBの利上げ継続姿勢を後押し。仕入れ価格は72.3と、62カ月連続で活動の拡大も、過去最高を記録した6月80.1からは大幅低下。80割れは2021年9月以降で初めて。
また、低下幅は2017年5月来で最大となった。

カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は、23年に利上げに転じる可能性は非常に少ないとしたが、FRBの金融政策は結局はデータ次第となる。

■米7月ISM非製造業景況指数:56.7(予想:53.5、6月:55.3)
景況指数:59.9(6月56.1、6カ月平均56.6)
仕入れ価格:72.3(80.1、81.0)
新規受注:59.9(56.1、56.7)
受注残:58.3(60.5、59.8)
入荷水準:57.8(61.9、62.6)
在庫景況感:50.1(46.2、47.2)
雇用:49.1(47.4、49.8)
新規輸出受注:59.5(57.5、58.3)
輸入:48.0(46.3、49.5)