(5) 重点施策
外部環境変化に柔軟に対応できる強靭な事業構造の構築を目指し、「事業基盤強化」及び「経営基盤強化」を重点施策としている。事業基盤強化としては、事業ポートフォリオの再構築、産業別営業力強化、新規事業創出(DXを活用した新商品・サービス展開)を推進していく。
(6) DXの推進
「DXの推進」としては、最先端デジタル技術の活用により、DXを加速・強化していく計画だ。DXを「営業拡大」と「業務効率化」の2つに区分けし、推進していく。「営業拡大」では、デジタルフォワーディングサービスのオンライン化を進める。従来の電話・対面営業業務をオンラインで対応できるようにする。また、荷物にタグを付与することにより、ドアToドアでの追跡管理を可能とするなど、IoTを活用した国際物流の可視化サービスも展開していく。
業務効率化としては、貨物情報共有システムの構築を進めていく。これにより、荷主が貨物の状況を確認したい場合、リアルタイムで画像を送信できるようになる。
(7) 事業ポートフォリオ戦略の推進
2021年7月に稼働した新基幹システムにより、事業ごとの収益を明確にアウトプットすることで、同社の事業ポートフォリオを改めて精査し、より効果的な経営資源の投入が可能となった。このため、営業体制を産業別の体制に変更するとともに、3次元(事業別、産業別、地域別)での事業管理体制を整え、さらなる事業拡大を目指していく。フェーズ1では事業ポートフォリオ管理を確立し、フェーズ2で効率的な事業運営と的確な投資判断につなげる方針だ。
各地域のポートフォリオポジション及び施策としては、重点投資領域を日本とし、システム投資、人材育成、倉庫建設などインフラの整備及び拡充と、さらなる収益力向上を目指す。
(8) 営業組織の再編
従来は特定の産業・顧客(自動車や化学品など)が複数部門にまたがり、重複して非効率な営業活動となっていた。そこで、2022年4月に7つの産業別営業組織へ再編し、1営業部門が1つの産業を担当することとした。営業組織は7つの産業別営業部門(モビリティ、ケミカル、食品、電機・電子、機械・設備、メディカル・バイオ、展示会・イベント)からなり、今後は産業別に営業活動が一本化され、営業予算と利益責任も負うことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)