2. 事業別の動向
(1) SNSマーケティング支援事業
SNSマーケティング支援事業の売上高は前年同期比7.5%増の1,030百万円となった。このうち、SNS広告・SNS運用コンサルティングサービスの売上高は同12.3%増の815百万円、SNS分析ツールの売上高は同7.3%減の214百万円となった。
SNS広告・SNS運用コンサルティングサービスでは、課題解決セミナーの実施によりリードを獲得し、同社サービスと親和性が高い企業に対する営業及びサービス提供が成功した。加えて、新規顧客からの問い合わせ・資料請求や既存顧客からの紹介案件等も売上高の増加に寄与した。またアライアンスや新サービスの拡充により、アップセル・クロスセルを実践することで採算性の向上につながった。なお、X(旧Twitter)の仕様変更に伴うデータ価格の高騰に対しては、一部価格転嫁や料金値上げの交渉をクライアントと進めている。
SNS分析ツールは、前年同期比減収での着地となった。
SNSマーケティング支援事業全体としては、大手企業との実績も増えており直近では以下のような実績を持つ。
・ジンズホールディングス<3046>
X(旧Twitter)を活用し、口コミ数約4倍及び指名検索数1.7倍と、ブランド力向上に貢献。
・トリドールホールディングス<3397>
(丸亀製麺)X(旧Twitter)を活用し、集客支援。再売り出しメニューの初速販売数1.9倍に貢献。
(コナズ珈琲)Instagramを活用し、フォロワー数が2倍となる。
・(株)シャトレーゼ
X(旧Twitter)を活用し、X(旧Twitter)フォロワー35万人超を獲得し、店舗売上の増加に貢献。
・ミルボン<4919>
X(旧Twitter)とInstagramを活用し口コミ数を6倍に。インスタライブ配信を支援し、45万視聴の反響。
・ジョンソンヴィル・ジャパン(合)
X(旧Twitter)とInstagramを活用して口コミ数を9倍にし、口コミ数に比例し売上の増加に貢献。
・オリオンビール(株)
X(旧Twitter)のUGC活用によりユーザー接点を増やし、前年比50倍のEC売上に貢献。
・(株)Paidy
マンガや動画を活用したX(旧Twitter)広告により「自分事化」を促し、600万ダウンロードに貢献。
また、複数SNSを組み合わせたマーケティング支援が奏功しており、直近では以下のような実績を持つ。
・コーセー<4922>
顧客の長期的なファン化を目指した運用を実施。
ファンとのコミュニケーションを重視したInstagram・X(旧Twitter)の活用。
・(株)NTTドコモ
dポイントクラブのInstagram運用を支援、平均10万回のリールズ再生回数を達成。
多彩なアイディアと柔軟な運用体制によりSNS活用を加速。
そのほか、乳製品、自動車メーカーなど多数の実績があり、大手との取引実績の積み上がりを通じて同社の業界内での信用度はさらに高まるものと弊社では考える。景況感に左右されにくい業種に対する新規開拓も進めており、今後はIT・金融等の業種の顧客ポートフォリオに占める割合が増えてくると弊社では予測する。
(2) DaaS事業
DaaS事業の売上高は前年同期比21.7%増の1,195百万円と第2四半期ベースで過去最高売上を更新した。企業のSNSデータに対する底堅い需要が続いており、既存顧客のアップセルや新規獲得に加えて、円安ドル高による為替の影響も売上に寄与した。一方、SNS企業の方針変更とSaaS業界の再編に伴うリスクに備えた施策も推進した。加えて、米国のインフレに応じた報酬のベースアップを実施し、従業員のリテンションを実現した。
(3) Web3関連事業
Web3関連事業は、業界リサーチを主な目的とした、パイロット・ファンド(プロジェクト)として運用しているため売上高は発生していない。Web3関連市場のボラティリティの高まりを好機と捉え、第2四半期期間においても新たな投資を行うとともに、一部投資資産の利益を確定した。クロスバウンド事業の一部売却によりキャッシュを確保したことから、今後の高成長が期待されるWeb3領域への投資を加速していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)