(3) ライブ配信
配信技術の進歩やコロナ禍をきっかけに、株主総会・IRイベント、専門セミナー、スポーツ・コンサート、プロモーション、社内情報共有・研修など、インターネットを利用したライブ配信が急速に拡大した。また、モバイル端末の普及により視聴者が情報にアクセスする場所を選ばなくなったことも、ライブ配信の利用を後押ししている。
さらに、街頭ビジョンやデジタルサイネージからスマートフォンまで、2D、VR(仮想現実)、360度、イベント実施中のアンケートや掲示板の利用など視聴者とのコミュニケーション、視聴者の反応のリアルタイムな可視化、追いかけ再生など、顧客や視聴者にとって便利な機能を数多く備えている。“撮影のみ”や“配信のみ”といった必要な機能だけを単独で提供することも可能である。また、「マルチアングル配信サービス」は、「マルチデバイス」「シームレスなアングル切り替え」「視聴端末のCPU負荷削減」「複数音声と単一音声」などに対応、好きなアングルを選んで視聴できる動画配信システムである。ライブ配信を確実に成功させるには、現場での対応が重要な要素となるため、同社のノウハウや技術力、現場対応力は他社にない大きな魅力といえ、年間のライブ配信は2,400件以上と実績豊富だ。なお、ライブ配信を希望するが失敗は絶対に許されないという顧客には、録画を利用した「疑似ライブ配信サービス」が好評である。
(4) 動画・Web制作/システム開発
同社は動画配信システムを提供するだけでなく、動画の企画制作、Webの制作・運用・システム開発などをグループ会社とトータルプロデュースしている。動画の企画制作では、顧客のニーズに合わせて動画の企画から制作、運用までをトータルプロデュースしている。Webの制作・運用・システム開発では、Webサイトの企画立案からコンテンツ・素材調達を含めたサイト制作、安定した運用までの制作体制を完備している。また、動画やWebサイトを適切に配信・運用するためのシステム開発部隊と運用部隊も有する。
(5) その他関連サービス
同社は動画配信周辺のサービスも数多く手掛けている。動画eラーニング・限定配信「J-Stream ミテシル」は、視聴者を限定した動画配信・動画eラーニング環境を、誰でも簡単かつ低コストで実現する。オンラインイベント管理システム「Webinar Stream」はパッケージシステムで、オンラインでの学会や学術集会をはじめ、各種オンラインイベントを手軽に素早く・低コストで開催できる。サーバー・サイトセキュリティ/コンテンツ保護では、サイバー攻撃やコンテンツの不正利用による被害・損害を防ぐ、手ごろな価格で簡単に導入できるセキュリティサービスやコンテンツ保護・DRMサービスを提供している。動画広告では、デジタルソリューションをフルパッケージで提供する法人営業支援ソリューション、動画と編集記事がセットになったコンテンツページを制作する「Tou#cheee PR」など、動画コンテンツの制作・活用から広告での収益化までワンストップで提供している。
このほか、動画配信ビジネスに必要な機能を網羅し、カスタマイズ性・拡張性に優れたオーダーメイド型CMS※「Stream BIZ」や、商品購入のインセンティブとして限定動画などを配信する「動画配信型マストバイキャンペーン」サービス、動画コンテンツの運用を一元管理する動画メタ情報の総合CMS「J-Stream メタマスタシステム」、クラウドベースの動画制作・編集支援プラットフォーム「Grabyo」、動画の視聴状況をユーザー単位で把握するビデオパフォーマンスモニタリングツール「MUX Data」、動画やライブ配信の販売や限定公開など動画配信サービスを構築できる「ソーシャルキャスト」、マニュアルの動画作成から蓄積、閲覧管理を一元管理する「VideoStep」、プロの翻訳者に匹敵する翻訳精度を誇るAI自動翻訳システム「T-4OO」などの商品・サービスを提供している。
※ CMS(Contents Management System):動画・画像・テキストなどWebサイトのコンテンツを一元的に管理するシステム。
(6) 同社を支えるグループ企業
こうした様々な事業を周辺で支えているのが、M&Aなどにより子会社化してきたグループ企業である。コンテンツをインターネット上で配信するプラットフォームや会員認証などの各種機能の開発を行う(株)CO3、映像制作やプランニング、プロモーション事業を行うクロスコ(株)、Webサイトの制作・運用支援やデータベース連携プログラムの開発を行う(株)Jクリエイティブワークス、デジタル放送機器の輸入・販売及びエンコードシステムのインテグレーションを行う(株)イノコス、医薬系のデジタルコンテンツ制作やマーケティングソリューションに強みを持つ(株)ビッグエムズワイなどがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)