1. 会社概要
kubell(クベル)<4448>は、国内最大級のビジネスチャットサービス「Chatwork」の提供や、業務のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を推進し、中小企業の生産性向上を支援するビジネスプロセス支援サービス「BPaaS(Business Process as a Service)」を展開する企業である。同社の強みは、日本国内の労働市場が抱える構造的課題に対し、的確なソリューションを提供している点にある。
2. 業績動向
2024年12月期第3四半期累計の業績は、売上高6,184百万円(前年同期比34.0%増)、営業利益184百万円(前年同期は670百万円の損失)、経常利益169百万円(同674百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益134百万円(同674百万円の損失)となった。主力事業であるChatworkセグメントの売上高は前年同期比36.2%増の6,077百万円と著しい成長を達成した。これにより連結売上高は前年同期比で34.0%増と堅調な増加を示しており、同社の主要事業が依然として市場で強いパフォーマンスを発揮していることが確認できる。さらに、EBITDAは4四半期連続で黒字を維持しており、収益性の高い成長を実現し、持続可能な利益創出を確保している。2024年12月期は後述する中期経営計画の初年度に当たるが、2020年12月期第4四半期以来の黒字転換を見込んでいる。同社はコロナ禍で大きく増加した需要に対して、認知率向上や体制構築等、中長期的成長を見越した投資を加速させていた経緯がある。営業利益以下の各段階利益の黒字化達成はこれらの投資が結実した成果であり、飛躍的な成長に向けたフェーズの転換点であると弊社では見ている。
3. 2024年12月期の業績予想
2024年12月期の業績予想は、売上高8,430百万円(前期比30.0%増)、営業利益35百万円(前期は677百万円の損失)、経常利益32百万円(同686百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失58百万円(同620百万円の損失)としている。
■Key Points
・国内最大級のビジネスチャットサービス「Chatwork」や、ビジネスプロセス支援サービス「BPaaS」により中小企業の生産性向上を支援
・2024年12月期第3四半期累計の業績は、価格改定によるARPUの上昇を追い風に、売上高は前年同期比34.0%増の成長を実現。営業利益以下の各段階利益も黒字達成
・2024年12月期の業績予想は、利益創出体制の構築により増収増益。営業利益は2020年12月期以来の黒字化を達成する見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)