1. 2024年12月期第3四半期累計の業績概要
2024年12月期第3四半期累計の業績は、売上高6,184百万円(前年同期比34.0%増)、営業利益184百万円(前年同期は670百万円の損失)、経常利益169百万円(同674百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益134百万円(同674百万円の損失)となった。主力事業であるChatworkセグメントの売上高は前年同期比で36.2%増の6,077百万円と著しい成長を達成した。
成長投資についても適切に進行しており、長期的な成長を目指すなかで、費用コントロールを維持しつつ、体制強化に必要な人員を確保している。2024年12月期第3四半期においては、グループ全体で34名の純増が報告され、そのうち10名はBPaaS事業に関わる契約社員であった。このBPaaS領域は同社の成長の柱となっており、顧客の需要が旺盛であるため、同社は積極的な採用を行っている。また、円安やサーバー・システム費の増加に伴う費用増加にもかかわらず、適切な費用管理によって利益を確保することができた点が評価される。2024年12月期は後述する中期経営計画の初年度に当たるが、2020年12月期第4四半期以来の黒字転換を達成しており、今後の飛躍的成長に向けて順調なスタートが切れていると弊社では見ている。
2. 主要KPIハイライト
主要KPIも引き続き良好に推移している。まず、「Chatwork」の登録ID数は722.1万に上り、前年同期比で12.1%の増加を続けている。これは同社のサービスが引き続き市場で支持を得ていることを示しており、堅実なユーザーベースの拡大を反映している。DAU(Daily Active User:1日当たりのサービス利用者数)は116.3万と前年同期比で6.1%の増加となった。サービスの普及に伴い、ユーザーの中心がアーリーアダプター層からマジョリティ層へ移行しており、DAUの伸びが多少緩やかになっていることは想定の範囲内であると言える。機能改善やユーザーとのコミュニケーション強化などの施策により、引き続きアクティブ率の向上に注力する方針である。課金ID数は76.8万と前年同期比で6.1%増の成長を遂げており、着実に純増している。2023年7月に実施した価格改定に伴う解約が一巡し、2024年8月以降の解約数が大幅に減少した他、同月下旬に実施したフリープランの利用制限強化を背景に、9月、10月と課金IDの獲得数が加速している。さらに、ARPU(Average Revenue Per User:1日当たりの平均単価)は735.9円となり、前年同期比で17.3%増という大幅な増加を示している。この成長は、2023年7月に実施された価格改定の影響が反映されたものであり、今後も有料プランの機能追加によってさらなるARPUの上昇が期待されている。同社はこれらのKPIにおいて堅調な成長を続けており、今後の展望についても有料化率のさらなる向上が見込まれ、第4四半期以降の成長戦略が一層注目される。
3. 財務状況
2024年12月期第3四半期末の資産合計は、前期末比648百万円増の6,921百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)