レビュー
ほめるときに「えらい」「上手」。叱るときに「ダメ」「いけない」。
褒美と罰は、与え方によってはモチベーションの低下や攻撃性の増加につながり、かえって行動が改まりにくくなることもあるという。なにより、親や教育者との関係が損なわれてしまうこともあるそうだ。
本書の著者は、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育という優れた教育方法の研究者だ。そうした教育方法に共通する考え方を基盤として、本書では愛情をエサにするような接し方ではなく、無条件に愛情を注ぎながら、道を示してやることが大切だと説く。そのためには、ほめ方、叱り方の声かけが、かなり大きな意味をもつ。
本書では理論を踏まえて、3~12歳の子どもを対象としたほめ方、叱り方のポイントがわかりやすく書かれている。「自分で服を着られたとき」「スーパーでだだをこねたとき」など、いかにもよくあるシチュエーションが示され、声かけの提案も細やかである。理論と実践のバランスがよく、実用性が高い。
子どもは思い通りにならない。
本書の要点
・褒美と罰をアメとムチのように使う「条件付き子育て」はデメリットが大きい。行動のよしあしにかかわらず愛情を注ぐ、無条件子育てをしよう。
・ほめるときは、成果よりプロセスに注目して、なるべく具体的に声をかける。自由回答式の質問をすると、子ども自身の感じ方を引き出せる。
・叱るときは、まず否定的な言葉ではなく、気持ちに寄り添う言葉をかける。プロセス中心に声をかけ、好ましくない行動の理由を、モラルに重きをおいて説明する。親の気持ちを正直に伝えることも大切だ。
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