レビュー

健康になるための情報は、世の中に無数に存在している。しかし、根拠が怪しいものや、すでに古くなり否定されているのに信じられ続けているものもたくさん含まれている。

本当のところ、何が正しく、何が誤っているのか、素人には判断がつかない。だからこそ、正しい情報、知識を得たいと考える人は多いのではないだろうか。
本書は、科学的なエビデンスに基づいて健康に関する正しい情報を見極める方法を知り、知識を学ぶために、恰好の書である。前半では特に、科学的なエビデンスとは何か、健康習慣はどのように形成され、何の影響を受けるのか、上手く習慣を身につけられないのはなぜかといった点について、著者の専門分野であるパブリックヘルス(公衆衛生)や行動科学の観点から解説されている。
後半で紹介されている健康のための食事、運動、休息、感情に関する具体的な情報や方法の数々は、多くの人にとって耳の痛い話と感じられるかもしれない。だが、健康な生活を志すのであれば、しっかりと聞き入れたほうがよいだろう。自分の生活習慣を見直していくありがたい諫言として響くにちがいない。

本書の要点

・科学のエビデンスは、研究方法によって「質の強弱」がある。強弱を見極めるには、専門的なトレーニングが必要。特に「専門家の意見」のエビデンスの質は低いので、メディア等で展開される専門家によるコメントは、発言の出所を確認する必要がある。
・生活習慣は個人の意志だけで変えられるものではなく、環境に強く影響される。健康に良い習慣がなかなか身につかなかったり、悪習慣がやめられなかったりするのも、社会経済的な状況や、それに基づく感情に左右されることが多いので、「自己責任」ではない。


・エビデンスの飛躍に気をつける必要がある。特に健康な食事に関するエビデンスに多い「〇〇を食べるとXXに良い」と言った単純化された考え方は還元主義と呼ばれるものである。科学はそんなに単純ではない。
・健康になる技術とは、食事・運動・睡眠・ストレスなどの分野で「WHAT(何を)」「HOW(どのように)」行なったら良いのか、自分の環境や特性(弱点・弱み)に合わせて実践する技術である。



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