レビュー

本書は睡眠にまつわるあれこれを科学的に解説したものだ。ニュートンはニュートンプレスから発行されている科学雑誌で、40年以上の歴史を持っている。

分野別に情報を絞って解説しているのがニュートン別冊。この超図解新書シリーズは別冊よりもわかりやすく書かれていて、さらに短時間で読むことができるのが魅力だ。本書は睡眠について、エビデンスがあって、なおかつわかりやすい情報がほしい、という人にはもってこいの書籍である。
睡眠は私たちの生活に直結するテーマだ。特別な事情がないかぎり人は毎日睡眠をとるし、それゆえに睡眠が与える健康への影響にも社会の関心は高い。けれども、脳や生理現象の知識がある人はほんの一握りだろう。睡眠は身近で関心の高いテーマであるにもかかわらず、詳しく知る機会が少ないという特殊な領域でもある。
本書は睡眠にかんして人々が抱くであろう疑問のほとんどに答えるような内容になっている。睡眠の基本的な原理や快適な睡眠をとる方法、睡眠にまつわる健康の問題、そして他の動物の睡眠などについても詳しく説明されている。冬眠によってシマリスは若返っている可能性がある、昆虫にも睡眠がある、などのトピックスは普段気にすることもないけれども、少なからず好奇心をくすぐられるものだ。ただ我々の疑問に答えるだけでなく、新しい興味を引き出す本書は、まさに科学雑誌を発行しているニュートンの魅力がぞんぶん発揮されているといえるだろう。

本書の要点

・睡眠不足が慢性化すると睡眠負債とよばれる状態になる。

睡眠負債は日常のパフォーマンスを下げるだけではなく、さまざまな健康問題を引き起こす。
・睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを繰り返す。ノンレム睡眠は3つのステージにわかれているが、そのなかのステージ3がもっとも深い眠りといわれている。
・睡眠のしくみはツープロセスモデルという仮説によって説明されてきた。ひとつめのプロセスは睡眠圧。ふたつめのプロセスは体内時計である。どちらも科学的な知見から少しずつ解明が進んでいる。



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