レビュー
本書は読んだ直後から使える実践的で役立つ内容が豊富に盛り込まれている。脳科学というとやや取っつきにくい印象もあるが、その第一線で活躍する著者が、脳の働き、脳の錯覚についてさまざまな研究結果や事例とともに解説し、非常に説得力がある。
学術書や専門書のように難しい内容を書き連ねてあるわけではなく、具体的なエピソードが満載で読み進めやすい。紹介されているエピソードやたとえが面白く、記憶に残りやすいため、日常生活でもふとした時に取り組めるはずだ。要約者にとっては、序盤に書かれている成功者のエピソードは強烈に印象に残った。また、各トピックの最後にまとめられた研究結果をどのように日常生活に取り入れたらいいかというアドバイスも、実践してみようと背中を押してくれる。
「できるだけ日常の現象を中心に取り上げ、脳の生理的な構造や機能から解説することを心掛けた」との言葉で締めくくられる本書。その一文の通り、脳と人間の行動の不思議や神秘が感覚的に理解できる、そんな1冊である。
本書の要点
・自分を大事にしている人は、ほかの人からも大事にされる。一方、自分を粗末に扱っている人は、他人からも粗末に扱われやすい。
・脳には「ゲシュタルト知覚」と呼ばれる「物事にパターンを見出したがる」という性質がある。これにより、相関関係と因果関係を混同すると、実際の原因ではないものを誤認する恐れがある。
・脳がつくり出す世界はとても強力で、人間は自ら抱く妄想から抜け出しにくいという性質を踏まえることが大切である。
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