レビュー

若者の「恋愛離れ」が進んでいる。2014年に内閣府が行った調査によると、20~30代未満の恋人がいない男女の約4割が「恋人が欲しくない」と回答。

そのうちの半数が「恋愛が面倒」を理由に挙げていたという。だが、著者は「恋愛離れ=結婚離れ、とは言い切れない」と言う。なぜなら、別の調査では18~34歳の男女の8割が、「いずれ結婚するつもり」と答えているからだ。
私たちが知る限り、「結婚」は「恋愛結婚」とニアリーイコールである。結婚したいなら、まず恋人を見つけて、それなりの恋愛経験を積む必要がある。昨今は少子化が進み、岸田政権は「異次元の少子化対策」として子育て支援を拡充しているが、そもそも「結婚」に至るまで、つまり少子化以前の問題のほうが大きいようにも見える。

本書では、「おひとりさま」「草食系男子」「年の差婚」などの流行語を世に広めた世代・トレンド評論家の牛窪恵氏が、令和の若者の恋愛観・結婚観に深く迫る。そこから読み取れるのは、彼らの価値観が「従来の結婚の形」に合わなくなってきているということだ。本書によると、歴史的に「結婚と恋愛は別物」である時期の方が長く、「恋愛結婚」自体が新しい概念なのだという。
著者は「令和時代の結婚」として、友達のようなパートナーと細く長い関係性を創っていく「共創結婚」を提案している。個人の生き方や家族の形が多様化するなか、「結婚の定義」もアップデートする必要があるのではないだろうか。本書はそれを考える良いきっかけとなるだろう。

本書の要点

・令和の若者は「恋愛は面倒だが、いつかは結婚したい」と考えている。
・「恋愛・結婚・出産」が三位一体となった「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」は、近代ヨーロッパで誕生した概念だ。「ロマンティック・ラブ」は、働く男性を女性が支える「新しい家族像」の形成において有効に機能した。
・「マッチングアプリ婚」は、婚姻に占める割合こそ増えているが、婚姻率アップ自体には寄与していない。
・令和の時代に最適なのは、友達のようなパートナーと細く長い関係性を創っていく「共創結婚」だ。その実現には「経済格差」と「社会通念」という2つの壁を越える必要がある。



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