JR東海が建設を進めているリニア中央新幹線。所要時間は東海道新幹線「のぞみ」の半分ほどになりますが、その料金はどれぐらいなのでしょうか。

「静岡」と「コロナ」の状況によっては、利用者に影響があるかもしれません。

「抵抗なくリニアを選べる水準」に

 JR東海が2027年の開業を目指し、まず品川~名古屋間で建設を進めているリニア中央新幹線。品川~名古屋間が、現在の東海道新幹線「のぞみ」より約50分短い40分で、品川~大阪間が約70分短い67分で結ばれる予定です。

 最高速度が500km/hで、「所要時間が『のぞみ』の半分」になってしまうリニア中央新幹線、その料金(運賃+特急料金)はどうなるのでしょうか。

所要時間「のぞみの半分」リニア中央新幹線 料金いくらに? 気...の画像はこちら >>

超電導リニアモーターカーL0系の改良型試験車(2020年10月、恵 知仁撮影)。

 JR東海が2010(平成22)年に、計画が経営的に可能であると確認するために示した試算のなかでは、「のぞみ」指定席の料金に東京~名古屋間では+700円、東京~大阪間では+1000円、とされました。

 現在、東海道新幹線「のぞみ」指定席で東京~名古屋間を移動した場合、料金は1万780円。東京~新大阪間だと1万4720円です。

 単純に計算すると、リニア中央新幹線は品川から名古屋まで40分で1万1480円、大阪まで67分で1万5720円になります(金額はすべて通常期のもの。品川駅発着でも同料金)。

 JR東海の山田佳臣社長(当時)によると、抵抗なくリニアを選べる水準で試算したもので、実際の料金は開業が近づいた時点で決定するとのこと。なお大阪までの開業は、2037年が目指されています。

本当にそうなるのか? リニア料金の不安要素

 しかし、リニア中央新幹線の料金が本当にそうなるかは、分かりません。

「品川~名古屋間で2027年開業」という予定について、延びることになれば、様々なコストの増大が考えられるでしょう。

 リニア中央新幹線の建設は、いまだ着工が県に認められていない静岡県内は別として順調といいますが、逆に言えばその静岡県内の状況によって、不明瞭な部分が出ています。

 また、リニア中央新幹線は総工費が9兆円。JR東海がその全額を負担して建設します。背景に東海道新幹線の安定した収益があるわけですけれども、コロナ禍で、その「安定した収益」が影響を受けています(東海道新幹線に限った話ではありませんが)。

所要時間「のぞみの半分」リニア中央新幹線 料金いくらに? 気になる静岡とコロナ

超電導リニアモーターカーL0系改良型試験車の車内(2020年10月、恵 知仁撮影)。

 リニア中央新幹線の開業を延期せざるを得ない状況になったり、コロナ禍が長引いたりすれば、料金が「名古屋まで+700円、大阪まで+1000円」より高くなる要因になりえるでしょう。

 とはいえ、いくら「所要時間半分」でも東海道新幹線から大幅な値上げになれば、利用者がリニアを敬遠しかねません。

 実際のリニア中央新幹線の料金について、もし変化するにしても「名古屋まで+700円、大阪まで+1000円」から大幅には動かないのではないかと思われますが、「開業延期になってしまった場合」と「コロナ禍」は不安要素です。

 JR東海は、リニア中央新幹線開業後の運賃・料金体系については様々な観点から検討した上で、開業が近づいた時点で決定するとしています。