レビュー

メディアに颯爽と登場するスタートアップの社長。カメラに向かって会社のミッション・ビジョンを熱く語り、生き生きと働く若いスタッフたちの様子が映し出される。

そのような姿を見て、「起業家ってカッコイイ」「こんな会社で働きたい!」と憧れる人もいるだろう。
しかし、そんな社長も裏では悩んでいるかもしれない。いや、どんなに輝いて見える社長も、裏では例外なく問題を抱え、もだえ苦しんでいるのである。本書では知られざる「社長業」にスポットを当て、社長が直面する悩みや問題を紐解いていく。
本書はPodcastの人気番組「経営中毒~だれにも言えない社長の孤独~」から生まれた一冊だ。著者は同番組のMCでベンチャー企業支援を行う徳谷智史氏。
要約者もヘビーリスナーの一人だが、著者の飾らない人柄と語り口に魅了される人は多いだろう。
徳谷氏自身が起業家であり、かつ1000社以上の企業を支援してきた経験から、本書では実に生々しい社長業の実態が語られている。「資金が尽きた」「社員がどんどん辞めていく」「リリースした商品がまったく売れない」など、泥臭いエピソードばかりで胸が苦しくなる。それでも徳谷氏は「社長はやりがいがあり、社長だからこそ見える景色がある」と断言する。
世の中には経営本が溢れているが、ここまでリアルな社長の悩み・苦しみに寄り添った本はないのではないだろうか。今まさに満身創痍の社長はもちろん、将来的に起業したい人、またチームのマネジメントを任される管理職にもぜひ読んでいただきたい。

本書の要点

・多くのスタートアップは創業後1~2年で苦境に陥る。そこには構造的な落とし穴があり、避けることは難しい。しかし経営の「羅針盤」を持っておくことで、冷静に対処することができる。
・スタートアップの9割以上は「人の問題」で崩壊している。
・社員に「価値観の違う人」を採用してはいけない。スキルや実績が多少足りなくても、価値観が合えば働くうちにそれらは補うことができる。


・スタートアップのプロダクト開発は「熱狂的なコアユーザー」がカギとなる。彼らがプロダクトの改善やユーザー獲得を後押ししてくれる。



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