レビュー

部下が突然退職したいと伝えてきた。いつも前向きに頑張ってくれていたし、先日の1on1で「困っていることはない?」と聞いたら「特にないです」と言っていたのに。

寝耳に水とはこのことだ――。上司や先輩の立場にある人の多くは、このように若手の「静かな退職」に首をひねった経験があるのではないだろうか。そんな経験のある人が本書を読むと、「静かな退職」の謎が解けるに違いない。
著者の金間大介氏は金沢大学の教授として、日常的に現代の若者たちと接している人物だ。専門とするイノベーション論やマネジメント論の分野では、教育や人材育成の業界との連携も多いという。「いい子症候群」の若者たちを分析した著書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』は大きな話題を呼んだ。

そんな金間氏は本書で、若手人材の1on1に対する態度を分析して6タイプに分類したうえで、上司・先輩に向けて、若手人材との1on1をより効果的なものにするとともに「静かな退職」を防ぐためのアドバイスをまとめている。
要約者にとって特に衝撃的だったのは、6タイプのうち最も多く存在するのは、1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプだということだ。もしあなたが「自分の部下は1on1を必要としているし、毎回楽しんでくれている」と無邪気に信じているなら、その認識を疑ってみたほうがいいかもしれない。部下や後輩がいる人はもちろん、若手人材の離職を防ぎたい経営者や人事担当者にも読んでほしい一冊だ。

本書の要点

・若手人材の1on1に対する態度は、「積極志向」「日常志向」「合理志向」「表面志向」「最低限志向」「回避志向」の6タイプに分けられる。このうち最も多いのは、1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプである。


・今の若者たちに共通するのは「自分で決めたくない」という心理だ。
・若手人材への理想的なフィードバック例は「さっき会議で出してた資料の頭のところ、私としては読みやすくてすごく良かったと思う。あれ、誰かに教わったの? それとも自分で考えたの?」だ。



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