レビュー

テスラ、アマゾン、マイクロソフト――。これらをはじめとした先進的なグローバル大企業が世界を動かし、我々の生活を大きく変えるようになって久しい。

しかしこうした企業もはじめは個人が立ち上げた(現在でいうところの)スタートアップであり、ひとりの非凡な経営者が事業を軌道に乗せたのである。
そんな「天才」が果たしてどのようにして生まれたのか、どのようにしてその独自の発想を得たのかということは、多くの人が解き明かしたいと思うところだろう。そこにはギフトを授かったという意味での、文字通りの「天才」という要素もあるだろう。しかし本書はそれだけだとは考えない。彼ら「天才」が他の人にはできない類稀な業績を上げた背景には、並外れた読書体験があるという視点から本書は書かれている。
一見どこから来たのかわからないほどユニークな発想を持っている彼らだが、それは真空から生まれたのではなく、過去から現在に至るまでのさまざまな名著を吸収してきたからこそ得られたものであるということを、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツという3人の起業家への取材を踏まえて明らかにしようとする。

食べたものが人間の体を作るように、「天才」もまた読書によって作られる。我々が一歩でも彼らに近づきたいと思うのなら、少なくとも同じ本を読んでみるくらいのことはしてもよいだろう。

本書の要点

・火星に行く宇宙ロケットを開発するイーロン・マスクの壮大な世界観は、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズといったSFや、『ローマ帝国衰亡史』のような歴史書によって培われている。
・「短期的な利益よりも、長期的な成功を重視する」という哲学を持つベゾスは、『ビジョナリー・カンパニー』をはじめとした王道の経営学の本から学んでいる。
・現在では慈善事業に力を入れるビル・ゲイツは、科学や格差問題に関する経済学の書籍を多く読み、自身も貧困の解決をはじめとしたさまざまな問題に実践的に取り組んでいる。



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