レビュー

「完璧主義の何が悪い」。そう思ったら、本書をぜひ手に取っていただきたい。

完璧主義は「完璧ではないこと」を、思い知るのではないだろうか。
本書が提唱しているのは、「ほどほど力」である。完璧であろうとせず、ほどほどに適度を心がける。完璧主義の人は、「そんなゆるい生き方は無理だ」と思うかもしれない。しかし、実は物事はほどほどにしたほうが望む結果に近づけるのだ。
著者は、精神科医のTоmy氏である。『精神科医Tоmyの気にしない力』など数多くの著書を持ち、メディアでも活躍している。Ⅹ(旧ツイッター)では、ハッとさせられるような人生の教訓と、「アテクシ」「~なのよ」「~だわ」などの独特な語り口が話題を呼び、2024年6月現在、39万人を超えるフォロワーを持つほどの人気ぶりだ。
そんなTomy氏もクリニック開院当初は、当時のパートナーの死も重なり、「ほどほど力」を忘れ、全力投球で働いていたことがある。その結果、クリニックには多くの患者が訪れるようになったが、Tomy氏自身は重度の不眠やうつ状態に悩まされるようになり、体調が戻るまで何年もの時間を要したという。完璧を目指し全力投球することで得られるものは確かにあるかもしれないが、一方で大切なものを失いかねないのだ。
自分にとって大切なことを見極め、それを手に入れるのが「ほどほど力」である。
頑張りすぎて疲れてしまった人はもちろん、これからの人生をどう生きるかと考え始めた人にもおすすめしたい。

本書の要点

・完璧主義は、自分が目指す「完璧」を努力で追い続ける自転車操業のようなもので、いつか限界が来る。
・「ほどほど力」とは、頑張るところと力を抜いてほどほどにするところを使い分ける力だ。「器用な完璧主義」とも言える。
・脳はパソコンのメモリと同様、タスクが極度に集中するとフリーズしてしまう。こまめに休憩をとることが大切だ。
・「ほどほど力」を身につけるためには、優先順位をつけ、行動の指針となる「自分軸」を見出すことが重要だ。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ