レビュー

チーム力向上のためにも、各自の今後のキャリアのためにも、メンバーにはもう一皮むけてもらいたいと思っている。だがメンバーたちは挑戦に消極的で、いつも同じ方法で仕事に取り組み、同じような成果しか出せないでいる。

いったいどうすれば挑戦を促せるのだろうか――。本書はそんな悩みを抱えるマネジャーのための本だ。
著者の片岡裕司氏と山中健司氏は、人と組織の変革を支援するコンサルティング会社、株式会社ジェイフールのコンサルタントだ。片岡氏は本書の「はじめに」において、コンサルタントの現場でメンバーの声を丁寧に深掘りしていくと、多くの人が「不満」を口にするが、その奥底には「不安」が見えてくると書いている。
メンバーたちはどんな不安を抱えているのか。答えは、人生100年時代において、自分がずっと市場価値のある人材でいられるだろうかという「キャリア不安」だ。だからマネジャーは、メンバーが「目の前の仕事で成長している」「今後どのような環境になっても自分自身の成長を通じて乗り越えて行ける」と実感できるよう支援する必要がある。この実感を持てると、メンバーは自走し始めるそうだ。
本書ではその前提のもと、メンバーの「育つ力」を育てる5つのステップが提案される。5つのステップを通してメンバーの「育つ力」を育むことで、「まだできていないメンバー」が「できるメンバー」に変わっていくという。
メンバーの意欲とポテンシャルを引き出してチーム力を向上させたいマネジャーに、一読を勧めたい。メンバーはもちろん、あなた自身もマネジャーとして一回りも二回りも成長できるはずだ。

本書の要点

・マネジャーは、メンバーとの対話を通して、メンバー自身が「キャリアの目的」を描く手助けをする必要がある。このプロセスを通して、お互いの理解が深まり、相互信頼を築ける。
・メンバーが自身の持ち味を活かせるように支援するのも、マネジャーの仕事だ。持ち味を活かせると、自己肯定感が育まれ、主体的に動けるようになる。
・メンバーが行動を起こせない要因の1つに「自己効力感の不足」がある。メンバーの自己効力感を育むためには、成功体験を積ませるとともに、成長思考の醸成を支援することが大切だ。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ