レビュー
マーケティングの勉強は一筋縄ではいかない。なにしろ覚えることが多い。
そんな用語や理論を、無理なく楽しく学ぶことを実現したのが、本書『100円のコーラを1000円で売る方法』だ。著者の永井孝尚氏は、日本アイ・ビー・エムでの長年の経験をもとに、実践的なマーケティング戦略を物語形式でわかりやすく解説している。主人公は、セールス出身の破天荒な女性。異動先の「商品企画部」で奮闘しながら、マーケティングを学び、成長していく。ストーリーは軽快で読みやすく、物語としても十分に面白い。読者は、ストーリーを追っていくうちに、自然とマーケティングの知識を理解し、吸収することができる。
本書のストーリーは、豊富な参考文献にもとづいた、マーケティング理論に支えられ、本書を終えたらマーケティングの名著に挑戦することも可能だ。最初から名著を読み進めることは難しくとも、本書を読み終えた後であったら、「あのエピソードに出てきた理論か」と、親しみを持ちながら原典にあたることができるはずだ。
まずは気軽に、「商品企画部」の一員になった気分で、ストーリーを追うところから始めてみよう。マーケティングにかかわるビジネスパーソンにはもちろん、これからマーケティングを学びはじめようとする新入社員や学生にも広くおすすめしたい一冊である。
本書の要点
・アメリカの鉄道はすっかり廃れてしまった。
・品揃えと価格を武器に家電量販店は業界で圧倒的な地位を確立した。一方で、街の電気屋も生存に成功している。品揃えと価格では勝てない街の電気屋は、高齢者向けのサービスを武器にした。
・100円のコーラを1000円で買ってしまうときは存在する。そのキーワードはサービスである。特別な体験がそれを可能とするのだ。
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