レビュー
上司から部下へのフィードバックは難しい。「どう伝えれば相手のモチベーションを下げずに済むだろうか」「しっかり指摘したのに、なぜ行動を改善してくれないのだろう」と思い悩む人は多いはずだ。
本書の著者、安田雅彦氏は人事のプロフェッショナルだ。西友、グッチグループジャパン(現ケリングジャパン)、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカ、ラッシュジャパンなどで人事全般の経験を積んだ後、現在は約30社の人事顧問を務める。
本書ではそんな安田氏が、数々の外資系企業での豊富な知見をもとに、部下を成長させるフィードバックのポイントをまとめている。
たとえば、効果的なフィードバックには「EEC」の3つの要素が必要であること、評価面接は7つのステップで進めると効果的であること、ネガティブなフィードバックは「事実に基づいて伝える」が鉄則であることなどだ。さらに、シーン別・部下のタイプ別の会話例や、個人の成長を促すだけでなく、チーム全体の成果を向上させるフィードバックのコツも惜しみなく紹介されている。あなたもきっと「こうすればよかったのか」と納得するだろう。
「部下の能力やモチベーションを引き出し、チームの成果を最大化したい」と願うすべてのリーダーにとって、本書は実践的な指南書となる。あなたのフィードバックが変われば、部下の表情が変わり、行動が変わり、成果も変わり始めるはずだ。
本書の要点
・外資系企業では、フィードバックを「成長機会につながるギフト」と捉える。言いづらいことでも、相手の成長と改善を期待して、誠意と敬意をもって率直に伝えるべきだ。
・評価面接で初めてネガティブ・フィードバックをすると、部下に大きな不安やストレスを与えるだけでなく、日々の業務改善や成長の機会を逸する可能性がある。日常的にフィードバックの時間を取り、改善のチャンスを与えよう。
・低業績者に対する向き合い方は、マネジャーの信頼度を左右する。一般的な外資系企業では、期待と現実のギャップを伝えるフィードバックを2~3年と繰り返したうえで、社外での活躍を提案することになる。
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