レビュー

ECで「売れる仕組み」があるとしたら、知りたくないだろうか? 本書は、トップマーケター16名への徹底インタビューを通じて、ECマーケティング成功の法則を紐解いた一冊である。著者の木下勝寿氏自身も上場企業の経営者であり、トップマーケターの知見と経験を持ち合わせた人物だ。

本書のベースは、著者のYouTube上でのマーケターたちとの対談であるが、単なる成功事例の紹介にとどまらず、再現性のあるマーケティング戦略の本質に迫ることを重視した。
要約では、大ヒットした夜間美容ブランド「YOLU」、職人の技術と消費者を直接つなぐ「ファクトリエ」、共感マーケティングで成長した「食べチョク」を取り上げる。ほかにも、インフルエンサーマーケティングの活用法や、経営改革による業績V字回復の事例など、ECマーケティングに関わる幅広いテーマを網羅している。
特徴的なのは、「売れる仕組み」の重要性を強調している点だ。顧客が「なぜこの商品を買いたくなるのか?」という視点から戦略を設計することが、長期的な成功につながることが伝わってくる。
また、D2C業界の未来予測、AIの活用、マーケターの育成方法など、未来のマーケティング戦略を考えるうえでも示唆に富む。
マーケティングや商品開発に携わる方、EC市場に参入しようとする方にぜひ一読していただきたい一冊である。トップマーケターたちの思考をインストールできるはずだ。

本書の要点

・夜間美容ブランド「YOLU」は「トレンド×自社の強み×明確なコンセプト」によって市場で差別化し、コロナ禍のニーズと合致して急成長した。
・「ファクトリエ」は工場直結のアパレルブランドとして日本のものづくりを支えている。プロセスエコノミーを活用し、品質と透明性を重視する戦略で成功した。
・特殊ECプラットフォームの成功事例が「食べチョク」である。

生産者と消費者を直接つなぐ仕組みを確立し、共感マーケティングとメディア戦略で急成長を遂げた。



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