3月29日に終了した朝の連続テレビ小説「ブギウギ」の全126話の平均視聴率が15.9%だった(個人視聴率は9.0%)。その前作「らんまん」が全130話で16.6%、個人は9.4%の視聴率だったことから、業界内では「趣里(33)は浜辺美波(23)に負けたのか?」と、ちょっとした話題になっている(視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)。


「ブギウギ」のオンエア前には水谷豊(71)と伊藤蘭(69)の愛娘がヒロインに決定したことや、ハイレベルな歌唱力とダンスが要求される役柄に、玄人好みの高視聴率が期待されていたのだが、神木隆之介(30)と浜辺の夫婦愛を描いたドラマの方が視聴者の心を掴んだということか。


 浜辺と趣里の周辺がにわかに色めき立ったのは、故・橋田寿賀子さんが理事を務めていた「橋田文化財団」による「橋田賞」が3月31日付で発表され、新人賞に2人が選ばれたことだ。同賞は放送文化に大きく貢献した番組や人物に贈られる。昨年は「Snow Man」目黒蓮(27)と現在の朝ドラ「虎に翼」でヒロインを務める伊藤沙莉(29)が同賞を受賞した。一昨年は吉沢亮(30)と杉咲花(26)で、NHKへの貢献度が高い役者に賞が偏りつつあるのが気になるところだが、その演技力には定評があるのは間違いないだろう。


「浜辺が趣里に視聴率で勝った」ことから見えてくるのは、朝ドラの視聴傾向だろう。

「ブギウギ」は趣里の共演者に菊地凛子(43)、蒼井優(38)らの演技派を揃えたわけだが、SNSではこれに《朝早くから、こってこての関西弁を聞かされると気分が重くなってしまう》とか《昔の芸能界そのままの再現なのかもしれないけれど、趣里の厚化粧には思わずチャンネルを変えてしまいました。“おしろい”の香りが画面から匂ってきそうで朝ドラにはキツい…》など、あでやかさや華やかさ、俳優の高い演技力が逆に裏目に出てしまっていることをうかがわせるコメントが多く見られた。確かに、“ブギの女王・笠置シズ子”のドラマチックな半生は、朝食や昼食の支度や後片付けをしながら見るには少し重厚過ぎたのかもしれない。


■女優の良し悪しは演技力だけでは決まらない


 一方、「らんまん」の浜辺は、演技力では「ブギウギ」出演者たちには少々劣るのかもしれないが、“女優の良し悪し”は演技力だけでは決まらないことをまざまざと見せつけた。


「確かに素人の目から見てもその差を感じざるを得ませんが、浜辺には視聴者の心に響く何か特別なものが備わっているのです。それが決してハンサムとは言えないけれど、演技力や好感度の高い神木とコンビを組んだことで、とても良い化学反応が生じたのでしょうね。

浜辺の実力は朝ドラ後の“売れっ子ぶり”を見ても明らかでしょう。CM出演依頼が殺到しているという事実は、彼女がたくさんの老若男女を問わず視聴者に愛されているという証拠です。一方の『ブギウギ』の趣里は、もちろん本人の“頑張ったから少し休みたい”という意向もあるでしょうし、まだ情報解禁日を迎えていないだけかもしれませんが、新CMや連ドラ、映画などに対する動きが鈍いように思えます」(芸能関係者)


 となると、朝ドラのヒロインに求められる“理想像”とは一体何なのか?


「ドラマの題材にもよりますが、2018年度前期『半分、青い。』の永野芽郁(24)が分かりやすい例でしょうか。ズバリ言えば“癖がなく、素直な、芯の強い女性”を表現できる女優ということです」(テレビ関係者)


 浜辺と趣里、そして現在の伊藤沙莉、続く橋本環奈(25)、今田美桜(27)……。朝ドラのヒロイン女優たちの今後に注目したい。


(芋澤貞雄/芸能ジャーナリスト)