旧ジャニーズ事務所の新会社スタートエンターテイメントは、アイドルグループとエージェント契約を締結。グループとしての契約で、TOKIOに続いて2組目だ。

またアイドルグループ「timelesz」(旧Sexy Zone)の菊池風磨も同社とのエージェント契約を結んだと発表した。


 旧ジャニーズ事務所所属タレントのマネジメントを担う同社。旧ジャニーズの性加害問題はジャニー喜多川氏のほか、スタッフ2人の関与があらためて問題視されているなか、版権や補償、ファンクラブなど、スマイルアップ社との関係もクリアになっていないとの指摘などはどこ吹く風。「タレントに罪はない」「むしろ被害者」との主張で突き進んでいる印象なのである。


 元ジャニーズで、被害者の補償問題などに寄り添う「当事者の会」元代表の平本淳也氏はこう言う。


「スタート社の福田淳社長が『全く独立した会社』と強調されていることからして、関係者が違和感を募らせていると思います。

旧ジャニーズ事務所のタレントなら、スタッフも財産も、業界への影響力も受け継いでいるのは周知のこと。昨年から、僕も問題提起している通り、保有する財産、関連会社、株式なども移譲によって関係を継続していくというのであれば、看板のすげ替えとみられても致し方ないでしょう。性加害込みでつくりあげられた土台、利益をもとに、その救済もブラックボックス化したまま、エンタメをつくろうという姿勢こそ不謹慎じゃないかと思います」


 もともと旧ジャニーズ帝国は一族経営だが、ジャニー喜多川氏から全権を引き継いだ藤島ジュリー景子氏は今も「陰の女帝」として、全権を掌握しているとの指摘も多い。


「たとえば旧ジャニといまだに『癒着』『ズブズブ』とされるテレビ朝日。いち早くスタート社のタレント起用再開を明言したのは日本テレビですけど、テレ朝は東京の有明に『ジャニーズ劇場』を計画しているというのには驚いた。このプロジェクトは早河洋会長の肝いりとされますが、ジュリーさんの姿が見え隠れしている」と、長くジャニーズをみてきた某広告プロデューサーは言う。


■テレビ局も喉元過ぎればで…


 スマイル社が真っ先にあたるとした被害者補償は、救済委員会からの連絡に対し、申告者約200人が返信しておらず、補償額などで悩み続けていることが明らかになっている。前出の平本氏のもとには連日、そうした被害者たちの悩みや2次被害などの苦しみが寄せられているという。


「スタート社の運営に対して、すべてを反対し否定というわけではありません。ですが長年にわたって、苦しみ続けてきた被害者たちの救済、補償を全うし、完結させるまで、一定の線引きがあってしかるべきではないでしょうか。現役のタレントたちやファンの方々に対して、この問題をどうのと言うつもりはみじんもありません。それでも、性加害問題は解決どころか、ブラックボックス化している算定基準、ふるい落としなどで、悲痛なるつらい思いをまた踏みにじられたように感じている被害者は少なくないのです」(平本氏)


 喉元過ぎれば何とやらで、このまま不誠実な態度を続け、なし崩し的な営業拡大を進めていくとすれば、被害者はもちろん、ファン、現役タレントも傷つけることになってしまうのではないか。