昨年4月の世田谷区長選挙の際に、世論調査を装った電話をかけ、保坂展人区長の名誉を傷つけるなどしていた人物が、公職選挙法違反(虚偽事項の公表)と名誉毀損の疑いで警視庁に書類送検された。4月30日付。


 区長選は、自民党日本維新の会が擁立した新人との一騎打ちで、保坂区長が4選を果たした。その後、昨年11月に、保坂区長が容疑者不詳のまま刑事告訴していた。警察は発信者とみられる人物を特定したようだ。


 問題の電話は、自動で大量に一斉発信できるオートコールシステムで、「こちらは世論調査ドットコムです」という女性の自動音声が流れるものだった。「保坂区長について意識調査をしております」との前置き後、「公用車で別荘に何度も行き来している」「区長室に1000万円以上の家具を購入する見積もりをとっていたことが報道された」などと、虚偽の内容が一方的に流れる仕組みだったという。


 容疑者の書類送検を受け、保坂区長は次のコメントを出した。


「世田谷区内に集中して区長選挙直前に『世論調査』を偽装して大量の電話をかけた行為は、私の社会的評価の失墜を目的とするもので許されない。資金を投入して虚偽事実を流布する悪質な手法が今後、乱用・拡大することがないよう、厳正な捜査と処罰を求めたい」


 先日の衆院東京15区補選で問題になった政治団体「つばさの党」の“選挙妨害”は、選挙活動の自由の乱用だった。オートコールによる世論調査を装う名誉毀損にしてもそうだが、公選法が想定していない今風の悪質行為が放置されるのはいかがなものか。