【芸能界クロスロード】
ビデオリサーチ社調べの週間視聴率ベスト20が毎週更新される。4月22日から28日までを見ると、テレビ朝日がサッカーアジアカップを入れて8本ランクインでトップ。
上位に入った番組を改めて検証すると、2位の「ポツンと一軒家」、8位の「ザワつく!金曜日」、日テレの「オモウマい店」と独創的なバラエティーが好調。芸人を集めただけの似たようなトーク番組とは一味違う点が人気の秘訣だ。大健闘なのは15位の「羽鳥慎一モーニングショー」。
ドラマでは予想通り木村拓哉の「Believe」と長谷川博己の「アンチヒーロー」がランクインして競っている。現在1ポイント木村が上をいくが、最終的にどちらに軍配が上がるかも興味深い。
ベスト20入りの常連、NHKの大河ドラマ「光る君へ」はギリギリ2桁を維持しているが、大河にしては物足りない数字である。
対照的に朝ドラ「虎に翼」は16.5%と堂々の1位。
5月4日で30歳を迎えた伊藤。9歳で女優デビューした当時は注目されず売れない子役だったが、「才能を感じた」「演技力に説得力があった」と業界での評価は高かったという。高校卒業後はコンビニでアルバイトしながら役者の道に進んだ。
女優としての転機は2017年。朝ドラ「ひよっこ」に米屋の娘役で登場。コミカルな演技で注目された。同年7月に公開の主演映画「獣道」ではAV女優として成功する女性を演じヌードにも挑戦して話題を集めた。その後はドラマ・映画でキャリアを積み朝ドラヒロインまで上り詰めた。
私生活では劇作家との熱愛も報じられているが、実力をつけた今の伊藤にはなんの影響もない。
今回の朝ドラにはもうひとりの苦労人も出演中。岡部たかし・51歳。前回の朝ドラ「ブギウギ」の“アホのおっちゃん”に続き、今回は伊藤の父親役で登場。妻には頭が上がらないが、心優しい父親を好演。味のある演技で好感度も急上昇中だ。
岡部は和歌山県出身。高校卒業後、建設会社で働くなどフリーター生活を経て劇団「東京乾電池」に入り芝居を学んだ。舞台からテレビにも進出。大河に5本出演するなど貴重な脇役で活躍の場を広げたが、ブレークの兆しは2年前に出演した長澤まさみ主演の「エルピス-希望、あるいは災い-」だった。岡部は熱血漢のテレビ局プロデューサー役で迫真の演技を見せた。皮肉なことに低迷するフジがブレークのお膳立て。
(二田一比古/ジャーナリスト)