中居正広氏(52)の元フジテレビ女性アナとのトラブルを「業務の延長線上の性暴力」と認定した第三者委員会の調査報告が、CM出稿を差し止めているスポンサー企業の動向にも影響を与えたようだ。キリンホールディングスは報告書が指摘したフジテレビの人権侵害について「重大な問題」とし、「広告出稿の停止を継続する」と発表した。

その一方、清水賢治社長(64)が打ち出した再発防止策には広告代理店とともに「着実に進むことを強く働きかけていく」とし、取り組みが進んでいると判断できた時点で「検討可能」との見方を示した。


 清水社長は4月以降のCMについて、スポンサー企業の約7割が再開の判断を保留したことを明らかにしている。経済同友会の代表幹事でサントリーホールディングス会長の新浪剛史氏は「CMの再開を今後検討していく段階にきているのではないか」と2日の定例会見で述べたと報じられた。ただし、「あくまでも検討であり、再発防止策がしっかり実行されていると確認されなければならない」との条件を付け、「経営と営業現場の意見が一致したときに初めて具体的な方向性が出てくる」としたという。


「大手企業の多くは保守的になっていて、再開を検討していた企業も、再開延期を決めたところがあるようです。もっとも、フジテレビもこのまま手をこまねいているわけにはいかないでしょうから、CM価格を値下げしてでも枠を埋めていくとみられます。いつまでもACジャパンばかり流しているのは避けたいはず」と某広告プロデューサーは言っている。


 企業サイドからすれば、CM出稿のチャンスとの受けとめ方もしている可能性もある。


■これから別の被害者が出て来る可能性も排除しきれず…


「月9」ドラマのスポンサーとして知られるフジパン株式会社は本紙問い合わせに「第三者委員会の内容は把握しております。現在、検討中でございまして今後の対応は未定でございます」とマーケティング部の担当者からメール返信があった。


 第三者調査委の報告書発表の前、アニメ「サザエさん」のスポンサー西松屋は出稿再開に向けて動いているとの見方が広告関係者の間で流れたが、2日に問い合わせたところ、こちらもCM放映の停止を継続することを明らかにし、今後については「諸般の事情を鑑みて、総合的に判断していきます」との回答が広報担当者からあった。


 「千鳥の鬼レンチャン」のアイリスオーヤマもしかりで、


「3月31日の第三者委員会およびフジテレビの会見をふまえ、現時点で広告出稿の再開は未定です。

今後の再発防止策などの内容・進捗を踏まえて、総合的に判断する予定です」


 と広報室の担当者からメール回答があった。


 中居氏の性暴力への加担のみならず、ハラスメントが蔓延していると指摘されたフジテレビだが、ここからの再生ロードマップを着実に実現していくことができるかどうかが注目されている段階へとシフトしたようだ。


「とはいえ、報告書には中居氏問題以外のフジの社員らのハラスメントが報告されていますし、別の被害者が出てくる可能性も否定できない。また執行部は『日枝チルドレン』ばかりで刷新感も乏しい。行政指導も入るようですし、フジテレビが本気で早期のCM再開をしたいなら、社長は外部から持ってきた方が早いのでは。現時点でCM再開なんて危なっかしくてとてもできない。白紙ですよ」と言う広告関係者の声もある。フジテレビは問題山積、前途多難のようだ。 
 
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